Micktll、おとぎ話を作る

(2011年02月14日)

自作のおとぎ話をツイッターで披露した。
ここに改行と脱字の修正を加え、全文を掲載する。
非常に長く読みづらいので、
時間と体力に余裕がある時に読むことをお勧めする。

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FF11鞄鯖を例え話で史実を語ると。

鞄鯖はもともとただの平地で、住民達の手でいくらでもその地を加工できる物だった。
その中で際って悪意に長けた者達がおり、その標的になった一人の住民は彼等を指差した。
すると彼等は糾弾を恐れ、土地の一部を海にしようと大量の海水を持ち込み大海を作った。
自分達で作り上げた大海であるのにも関わらず、
「異変に気付いた一般住民」を装い他の住民達に必要以上の勧告活動。

そして「その大海には住民を脅かす悪が棲みついている」と、
指を差した一人の住民を簀巻きにし、その大海に放り込んだ。
放り込まれたその住民は幾度も死を迎えそうになる。
時には獰猛な肉食魚や大魚に食い殺されそうになり、
時には海流で四肢がもがれそうになり、
時には激変する天候に苦しめられたり、
時には餓死や溺死を迎えそうになったりと。
途方も暮れる長き時に渡り、底なしの広大な大海を漂流しつつ苦難を1つ1つ処理すること数年。
第六感を研ぎ澄ました上でその「漂流者」は自分が降り立った平地への帰還を諦めず、
味わうであろう全ての苦行を歩み切り、その地獄とも言える大海を泳ぎ切った。

様々な得るべき物を得た漂流者は遂に、悪意に長けた張本人達のいる平地に帰還した。
その漂流者の風貌は漂流前の顔立ちと完全に異なっていた。

住民はどよめき、張本人達は顔が引きつる。
そしてあの漂流前と同様に張本人達に今度こそはっきり指を差し言葉を放った。

「全ての決着をつけに帰ってきた」。

しかし住民は口々に言う
「あの海から上陸してきた化け物だ!やっちまえ!」
「やはり魔物の噂は本当だったのか!災害はお前のせいだな?!」と。
住民は一斉にとびかかりあらゆる攻撃を仕掛ける。
張本人達はそれをにやけながら眺める。
しかし攻撃していた住民の一人が異変に気付く。

「こいつ・・・死なないぞ・・?」

その一言で他の住民も我に返り、その異様な状況に怯え攻撃は次々とやむ。
「私は既に俗物として死んでいるのだ。無駄だ」と漂流者
再度張本人達は青冷めるがここで一住民の立場を装い大声を張り上げる。
「これが人間ですか!?ほら!やっぱり海に棲みつく悪はいたんですよ!!
だいたいどうやって人間がこの地にやって来れるんです!?」と。
他の住民達はその大声でハッとし、漂流者を睨み付ける。
なるほど、読んでいた筋書き通りだ、とここで漂流者は低い声で驚く言葉を発する。

「この海、いつからあるんですかね」と。

(・・・!?)

住民は何を言っているのか理解出来ない素振りを見せる。
続けて漂流者は
「それと、この海って【ここの平地以外の人】でも溺れたり遭難したりする代物なんですかね」。
張本人達から冷や汗が噴き出す。
住民の一人がつぶやくように言葉を発する。
「そういやこの海からは不定期に遭難者があがるよな・・
それって余所の土地から流れ着いた人間ってことか??」
聞いていたほかの住民も思い思いその上陸した者達のことを思い返していた。
漂流者は更に続ける
「この海は人工物だ。」。
住民達は驚きと怒りで奇声を上げる。「馬鹿なことを言うな!」、
しかし漂流者は構わず続ける。
「そしてそれらの遭難者は溺れたふりをしただけの上陸者だよ。
この海はここの土地の住民だけが溺れるように作られている」と。
先程大声を上げた張本人達はここで沈黙、
しかしそのリーダー格の男が遂に限界に。

「ほほぉ~ぅ。これは興味深いお話ですよ。」リーダー格の男は漂流者に歩み寄る。
漂流者は「それは興味を持っていただいた様で何よりで」と返す。
しかし「ですがねぇ?物事には証拠が無い事には信じられないというのが付き物でしてねぇ。
これを【我々】に信じろというのもいささか無理がありますなぁ」

―なるほど、我々と来たか。

リーダー格の男は更に続ける
「それにその指を差す態度。
私の記憶が正しければ数年前にその者はこの土地から消えたはずですねぇ。
それが数年かけて舞い戻ってきたと?」

―ぺらぺらと。

漂流者は思わずほころぶ「語るに落ちたな」。
その男は思わず「cimatta!」と口を滑らす。

漂流者は話す
「何もそいつに何かを認めさせようだなんて思ってないさ。
それに当時と違って住民もかなり見ない顔が増えている様だしな。
こいつらは私が漂流する様を仲間内で笑い話にしてずっと私を監視してたんだ。
私の帰還も知っての事だ。」と。
リーダー格の男は「私が笑い話をする時は名乗るがね!」
漂流者は更にニヤつき話す。
「それに私が上陸した時、あんたはすぐ様話しかけてこなかったよな。
今でこそ私の話を必死に否定しようと食いついているが、
私を数年前に見た覚えがあるというのであれば何故すぐ気付かなかったのかな。」
リーダー格の男は完全に黙ったかの様に見えたがすぐ様口を開く。
「そ、それはお宅の風貌が当時と見間違う程変貌しているからですよ。」と。
漂流者はここで大笑いを始めた。
そしてリーダー格の男を嘲笑する。
「当時?馬鹿だなぁ、その【初代漂流者】の事を言っているのかあんた。」
「!?」
「私は、その初代と同様にあんたらに目をつけられて海に放り込まれた者さ」
住民達が再度どよめき始めた。そしてリーダー格の男は焦り、早口でまくし立てる。
「お宅が、あ、あの漂流者じゃないのに数年前を知っててぇ!?お、おかしいじゃないか!!
あ、あいつと別人なら!い、いや、そんなはずがない?!お、お前は何だ!?」と。

漂流者はため息をつき「落ち着こうぜ旦那」と。
漂流者は適当に岩場に腰をかけて続ける。

「あんたが海に放り込んだ住民の数は底知れぬ規模だが、
その中であんたらが最も警戒している2名。1人目がMickt、初代漂流者だ。
そして2人目が、そう今あんたの目の前にいる私だ。」。

リーダー格の男は「まさかお前…」と怯む。漂流者は笑みで満ちていた。
「そう、私は元Makirin。漂流中に初代と遭遇し苦難を共にして荒らぶる海をくぐりぬけたのさ。
もっとも、初代は途中に存在そのものを【世界の外より招かざる者】に消されたがね。
初代がやられるまでに私は全てを継承した。
そして私は上陸の手前で他の平地に飛ばされた。」

話は続く。
「【上陸させたくない何者かの仕業】であったが、飛ばされる前の座標に戻るのは容易だった。
漂流しながら様々な物を私は身に付けたのだからな。
あんたの監視が誤認していたとしたらそれは仕方ない。
Micktだと思って追跡していたその実際は、Micktlllとなった私だったのだ。」と。
リーダー格の男は放心していた。側近達が動揺しうろたえる。
住民達は怪訝そうな表情で彼等を見つめた。

漂流者は口にする。
「存在を葬り、史実を歪め、生き証人を遠のかせようと総力戦で総動員したその周到な行動力は評価する。
しかしそれらに『私と彼』は屈しなかった。」

「全てを越え、今お前の前に立つ」

「ぐっ、ぐぬぅぅ!」とリーダー格の男は歯軋りをした。
漂流者は「私は不死身だ。この平地の秩序が如何に見かけだけの虚構であるかを、今から引き剥がしてやる。」
と口にした後に何かの消滅呪術を行った。
平地全体に【他人の笑い話のネタ】が大音量で流れ出す。
それも膨大な量で平地誕生からの全てだ。
次第に辺りが暗くなり、音声に連動して空間に字幕が浮かび上がる。
リーダー格の男は「見ろ!!これが海に棲む悪魔の能力だ!!我々はこいつに滅ぼされるぞ!!」
最後の魂の叫びだろうか。【従者】と呼ばれる不特定多数が再度漂流者に一斉に武器を突き刺す。
「…無駄だというのが分からないか。少し大人しくしててもらうぞ。」
漂流者は攻撃者全員の神経回路を経由して脳に直接攻撃停止の命令を下した。
漂流者の負傷は次の瞬間無くなっていた。
リーダー格の男は側近達に
「おい!!今すぐこれを止めろ!奴を直接止める方法でも構わん!!何とかしろ!!」と。
しかし従者含め側近は誰一人動けない
「【釘】を撃たせてもらっている。動けない、のではなく動かないのだよ彼らの意思でね。」
と漂流者。
「なにぃ!?」リーダー格の男は顔を引きつらせ徐々に後退する。

漂流者はとある方角を見上げ
「なるほど、現在進行形でも平地の住民に対して情報統制を行っていたか」とつぶやく。
「!?」
漂流者が見据える丘の上に、木々でカモフラージュされた施設らしきものが見える。
リーダー格の男は「馬鹿な!!!何故あれがお前に見えるんだ!?」と荒ぶる。
漂流者は「言っただろう。私は俗物としての人間を既に辞めているんだ。
これしき能力の一つにすらならない。」

「【統治】があんたのテーマか。」と

漂流者の術にかぶせる形で上空から音響が届いてきた。
(ほぅ…これは…耳小骨にダイレクトに作用する応用型の全帯域モスキートーンか)
漂流者は一早く見抜く。
「アッアーッ!ヘイチノミナサァーン!コニチハー!」。
住民全員がその異質な音響に戸惑い中には酔う者さえ出る始末。
「スグニナレマース!」
片言なのと周波数の相違がこの平地の住民達にとってはきつい様だ。
漂流者は飛空艇?と平地の間の空間に双方向の振動調和の陣を張り巡らせた。
そしてその発信方法を理解した漂流者は
「勝手ながら疎通のし易い様に調整させてもらった」と飛空艇側に語りかけた。
「おー!ここの平地クレイジィ~!」
飛空艇側から更に続く。
「我々はイモクルーズと言いまーす!はじめまして><」と。
漂流者は笑い出した。
「我々は色んな平地を巡ってるんですがぁ、
今回はこの平地の問題を根こそぎオープンにしてみようという企画でやってきたよぉぅ!!」
と平地に響き渡った。

―なるほどこれは面白い。

この予想にしない状況に
漂流者は笑い、
リーダー格は焦り、
従者や側近は飛空艇を睨み、
平地の他の住民達は何が始まるのかと戸惑う。

漂流者は「はは、【他の平地の方々】もここの平地に興味を持った様だな。
どうだいBisonさん。丁度いい機会じゃないか。ここの平地の真実を広めるには。なぁ?」と
漂流者は更に「ま・さ・か、あの者達からの質問や追及から逃げようだなんて
情けないシナリオを考えてはいないよなぁ」とあざ笑った。
リーダー格の男は「や、やかましぃぃ!!俺は噂話が三度の飯より好きだ!
好きだが俺が語る時はとにかく名乗るんだよっ!!」と突然叫びだす。
イモクルーズ艇から「なるほどー!Bisonさんは噂話が好きでしょっちゅうしてるんですね!なるほどー!」
とモールス信号の様なピピピと記録を匂わせる音も聞こえてくる。
台本の無いぶっつけ本番だとボロを出すCimaの本質は昔から変わってないな、
と初代が笑ったように漂流者の脳裏に響いた。

更に「それとー!今この平地にかけられている
『史実の復元(フィクションリカバー)』で流れている音声ですがぁ!術者はユーでいいのかな?!」
と漂流者に語りかけられる。
「そうだが。」と漂流者は陣を通して返す。
クルーズ艇から「これは今も続いてるデスカァ?!?」と重ねて質問が来る。
「【噂話】が現在も続いているかどうかは…」
漂流者は先程の丘を指差し、フィンガースナップの構えをとった。
リーダー格の男は「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
と懐に隠していた魔鎌で漂流者の首を掻き切った。住民達が悲鳴を上げる。
が、次の瞬間漂流者は元の状態になっていた。
「話を続けるぞ」
クルーズ艇は【成り行きも事細かく記録】しつつ事態を見守る。
リーダー格の男は息が上がっていた。
「はぁー…はぁー…それだけはさせる訳にはいかねぇ!!」と。
漂流者はそれにお構い無しにスナップをした。

「t?χνηλ?ση…」。

次の瞬間丘の上に通信施設らしきものが公の目に晒された。

住民の一部から「え?何あれ?あんなのいつからあったっけ??」等の声が次々と上がる。
リーダー格の男・従者・側近達は一斉に押し黙る。
クルーズ艇から
「わーお!こんな規模の『虚構の剥離(フレークオフフィクション)』を生で見たのは初デェース!
これはスクープですねぃ?!」と興奮の声色が伝わる
漂流者の口元がほころんだ。
イモクルーズ艇から「今回はひとまずイーモノが見れたのでぇぃ!ひとまず退散しまァース!
我々クルーズの博物館への転送陣を設置しておきましたのでぇ~!
興味のある方々はいつでも自由にぃ?!お越しくださぁぃ!では再見っ><」
とアナウンスがあり飛空艇は去っていった。

リーダー格の男は口にした。
「あのイモクルーズとやらはお前の仕込みだろ!?
こんな都合の良い登場がどこにある!?」と。漂流者は嘲笑した。
「私がいくら不死身だとしてもな。
【因果律】に干渉することは出来ない。
あの【事象】は、他ではないあんた自身の【業】が呼び寄せた代物だ。」と。
たじろぐ男を尻目に漂流者は続ける。

「そして『Mickt』という名とその史実を知る私。
この存在はあんたが行ってきた全ての業を結びつける
【逃れることの出来ない史実のシュバルツシルト半径】なのさ。
先読みや予測をせずともあんたの取れる行動範囲は
私が生きている限りハナから決まっているのさ」

更に漂流者は「そんなことより」とあの施設を指差す。
「いいのかい?あそこを封殺しなくて。
もっともあんたが管理者や所有者じゃ無い限りそんなこと出来ないけどさぁ」と笑い転げる。
リーダー格の男は従者や側近に視線で合図を送り、
彼等は一斉に施設に走っていった。住民達は訳が分からぬ様子で困惑。

まもなくして、あの施設の広域スピーカーと思われる部位から
相当な頻度と音量で「それ」は流れ始めた。
「…ごみゴミ塵ごミゴみ塵…」と。
漂流者は構わず笑い続ける。リーダー格の男はここにきてにやけはじめる。
平地での情報覇権をかけたこの【作為的洗脳音声】が彼らの生命線であり最後の砦なのだろう
しかし漂流者は全く問題にしていなかった。

実はイモクルーズが転送陣を設置する際に
【平地の様子をクルーズ側にリアルタイムで注視させる可視詠唱】
を仕込んでいたのだ。
当然この「ごみごみな様子」もクルーズ側に筒抜けになっていた。
漂流者はリーダー格の男から「もう諦めろ。ここは我々の物だ」と。

興味深いことにイモクルーズ艇内の時間の流れ方と
平地での時間の流れ方は著しく異なっている様子で、
こちらの1日があちらでは数日単位らしい。
この広域洗脳を改めて開き直りで行い始めたリーダー格の男に
突然上空からスポットライトが当たった。
「な、なんだ!?」と男は警戒する。
見間違うこともない、先程やってきたイモクルーズ艇だ。

アナウンスが流れ始める。
「前回そこの術者さんをヒントにモスキートーンを改良しましたよーぅ!」
漂流者はほくそ笑む。
「そこの転送陣からおもしろいものが届いてきたのでぇ?!
まとめて映像にしてみたよぅ?!3つほどねっ!」
いくら各地を点々とするクルーズ艇とはいえ、
そのエネルギー源は有限でろうことを考えると
今から映像を写すの出ればその消費は相当なものになるだろう。
漂流者は確認をする
「今からそれらを術式でこの地に映し出すのか??」と。
クルーズ艇からは「いぇ~~~す!びんごぅぅぅ!」と返って来る。
「そっちの出力形式がこの地の屈折層や大気と合うとも限らないから
そのベースとなるスクリーンは私が受け持ってやろう」と漂流者は申し出る。
クルーズ艇から感謝の意が伝わると同時に双方で術式が始まる。
3つのスクリーンが空中に生成され、それぞれの枠内に

「Bison凸動画」
「ごみごみ粘着動画」
「予告編」

と題した計3つの映像が流れはじめる。
クルーズ艇から「御安心くださーイ!今そこで流れている音声の様な副作用はありませーん!
それと並列3つの視聴で脳に等しく分散して認識出来る様に工夫してありまぁす!」と。
住民達にとっては未知の感覚であったがどうやら不具合は起こらなかった模様
施設から出てきた従者や側近、
そしてリーダー格の男に等しく伝わるその認識技術も会得し、
漂流者はその3者に語りかけた。
「表情が穏やかじゃないな。何をそんなに眉間にしわを寄せているんだ?」と。
更にイモクルーズ艇から
「今放映している動画は博物館でも常時置いてて他の地の人でも見れまース!」

映像が終る前に、リーダー格の男を含め【粘着者】と呼ばれる者達は転送陣を使い、
イモクルーズ博物館に乗り込んでいた。
建物内を落書きで汚し、放映動画の画面にスプレーで殴り描き。
よほど【他の平地に広まる事】が不都合で仕方ない様子だ。
漂流者は平地で今も笑い続けており粘着者達は今も荒している。
この様子を平地の住民達が完全に理解するにはまだまだ時間を要するだろう。
しかし史実は決定されており、
【粘着者グループ達のネット上での第3者への態度および行動】
も動画にまとめられてしまったのだからここはアドバンテージ。

漂流者はこうして現在、絶妙なバランスでこの平地に君臨している。

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この半年後、漂流者は垢バンされて消滅した。

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