【ラホイ首相】「労働改革」を実施。(2012年法)

(2012年02月)

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2012年2月の労働改革は
ラホイ政権の重要な構造改革の一つであるが、
それは同時に大きな反発と反対を惹起した。

政治資金疑惑の問題なども加わって
政府および与党PPに対する支持率は
2012年を通じて大きく低落し、
野党PSOE(社会労働党)の不振の陰で
新興の急進左派政党PODEMOS(我々はできる)の
台頭を招いた。

http://www.rochokyo.gr.jp/articles/1505.pdf

国民党政権下でなされた
2012年2月の労働改革は、
スペイン史上
最も急進的な新自由主義的改革であり、
憲法第35条
および第40条に規定された労働権
および失業保障の権利の
「脱憲法化」を意味するとの原理的批判がある。(Baylos 2013)

このような立場から、
同改革の評判は概してよくない。

しかし、ここで問題とされている
柔軟化戦略の起源は
社会労働党が政権与党の座にあった
1980年代にさかのぼり、
右派政権と左派政権の違いを問わず
基本的に踏襲されてきたのである。

http://www.rochokyo.gr.jp/articles/1505.pdf

以上のことからわかるように、
2012年法による労働改革は、
サパテロ政権下における2010年法の趣旨を
労働市場の柔軟性の観点から
さらに徹底させた内容となっている。

2012年3月29日には
再び2大労組の呼びかけでゼネストが行われ、
15-M
または「怒れる者たち」(indignados)と呼ばれる
反グローバリズム運動と合流した反対運動が
世界的に注目された。

しかし、2010年のゼネストが
社会的協調の一時的復活につながった
という見方がある一方で、
今次においては
ラホイ政権の強固な改革方針に動揺が見られず、
結果的に抵抗運動の限界が露呈する形となった。

http://www.rochokyo.gr.jp/articles/1505.pdf

問題は、
「雇用、景気、財政」を掲げて
選挙に大勝した国民党(PP)政権による
2012年労働改革が、
いかなる思想的背景を持つ内容であれ、
実際に雇用の量的・質的改善をもたらしたか
という点である。

失業率は
2011年の21.4%から
2013年の26.1%へ、

若年失業率も
46.2%から
55.5%に上昇して
ユーロ圏でギリシャとほぼ同水準の高さに留まっている。

有期契約雇用については
25%台で推移しているが、
雇用全体が収縮している現状の方が
より深刻である。

労働市場の二重性と
若年失業問題は、
ビスマルク型の社会保険制度を有する
大陸ヨーロッパ諸国共通の問題であるが、
スペインではこの問題が
他国に先駆けて深刻なレベルに達し、
時間の経過とともに
その深刻さが増して
構造的問題に転化してしまったのである。

http://www.rochokyo.gr.jp/articles/1505.pdf

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