スタジオ・イースターの元社員3名が、未払いの残業代や、パワハラの慰謝料を求めて会社を提訴。

(2012年02月)

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杉並一般労働組合
スタジオ・イースター分会

追い出し部屋、
労災認定なのに減給、
長時間労働・パワハラで病気に

同僚たちが何台ものパソコンに向かい、
締め切りに追われている。

そのすぐ横に、
簡素なつい立で仕切られた15坪ほどのスペース。

隣の喧騒とは打って変わって、
窓際に机と椅子が置かれているだけの、
まるで見せしめのような孤立した光景は、
リストラや退職強要が目的といわれる
「追い出し部屋」の典型にもみえる。

人気テレビアニメ「名探偵コナン」などの
背景画の制作を手がける「スタジオ・イースター」(東京都杉並区)で、
コンピューターシステムなどを維持、管理する部門の責任者だった
山田徹さん(48歳)が
このスペースでの勤務を命じられたのは、
2011年 6 月のことだ。

退職する社員に
有給休暇を取るようアドバイスしたところ、
なぜか、始末書の提出と降格を命じられ、
その後も一方的な配置転換や減給に遭い、
挙句、「追い出し部屋」行きを命じられたという。

そこではほとんどの業務を奪われ、
唯一の“仕事”は週に一度、
「待機」と書き入れた報告書を提出すること。

前職より同様の仕事が専門で、
何台ものコンピューターや
幾重にも交差した配線に囲まれて働くのが
当たり前だった山田さんにとって、
筆立てひとつない机に向かう毎日は、
ひときわ惨めで、
心もとないことでもあった。

「放送日に追われて
作品を作る社員たちが
存分に力を発揮できるよう、
裏方として支える仕事は
やりがいがありました。

現在のシステム環境は
私が中心となって整備してきた
という自負もあります。

それなのに、
納得できない理由で降格、減給され、
繰り返し、退職を勧められ、
気が変になりそうでした」(山田さん)

同社での仕事が原因で頚椎症(労災認定すみ)
となった猪鹿倉智幸さんは(35歳)
これからも一生、
首や肩、腕の痺や痛みと
付き合っていかなくてはならないという。

「医者からは
『悪化はしても、治ることはない』
と言われました。

酷い時は歩くことも、
座ることもつらくなることもあります」。

も と も と、
コ ン ピ ュ ー タ ー グ ラ フ ィ ッ ク(CG)にかかわる仕事に就いていたところ、
アニメ業界でも
急速に CG が取り入れられつつあったため、
実績を積もうと同社に移った。

ところが、実際の業務は
大量の原画やレイアウト用紙を
ひたすらスキャナーで読み込むという
過酷な肉体労働。

読み込みが終わらないと、
CG 制作にも取り掛かれないため、
無理をしてでも
作業スピードを上げざるを得ない。

重さ 2 、 3 キロはあるスキャナーのふたを
連日、上げ下げし続けるうちに、
次第に痺れや痛みを感じるようになった。

頚椎症を発症したのは、
入社からわずか数ヵ月。

医師から 2 週間休むように言われた
と上司に伝えると、

「では、
『 2 週間で復帰できない場合は退職します』
という紙にサインをしてください」
と返されたという。

何とか復帰はしたものの、
それまでのような
長時間の作業はできなくなった。

すると今度は、

「残業できないなら辞めたほうがいい」

「会社としても期待はずれで損害」

と言われ、
月給を28万円から
24万円に減額された。

猪鹿倉さんは

「残業代も出ないのに、
痛みを我慢して
徹夜までして働いたのに。

それで、頚椎症になったのに。

この悔しさは忘れることができません」

と訴える。

http://www.zenroren.gr.jp/jp/koukoku/2013/data/201305-195_03.pdf

労働争議

2012年2月、
社員3人が未払い残業代やパワーハラスメントに対する慰謝料の支払いを求め、同社を訴えた。

訴状内容は長時間のサービス残業やパワハラ、退職強要、
最低賃金を下回る給与(2009年12月入社直後の研修中の給料は
東京都の最低賃金額の時給821円を大幅に下回る250円)等の労働法違反。

2014年5月30日、
東京地方裁判所において和解が成立。終結した[1]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/スタジオ・イースター

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