【京都府警】青葉容疑者を逮捕。

(2020年05月27日)

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去年7月、京都市にある「京都アニメーション」のスタジオが放火され、36人が死亡、33人が重軽傷を負った事件で、10か月余りがたった27日、警察は、青葉真司容疑者(42)を放火や殺人などの疑いで逮捕しました。調べに対し容疑を認め、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」などと供述しているということです。

去年7月18日、京都市伏見区にある京都アニメーションの第1スタジオが放火された事件では、社員36人が死亡、33人が重軽傷を負いました。

この事件で、警察は27日朝、スタジオに押し入ってガソリンをまいて火をつけ多数の死傷者を出したとして、やけどの治療を受けていたさいたま市見沼区の無職、青葉真司容疑者(42)を放火や殺人などの疑いで入院先の京都市の病院で逮捕しました。

身柄を捜査本部がある伏見警察署に移送したあと、警察は会見を開き、青葉容疑者が調べに対し「間違いありません」と容疑を認め、「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」などと供述していることを明らかにしました。

一方、事件から10か月余りがたって逮捕したことについては、複数の医師の意見などをもとに取り調べができるまでに回復したと判断したことや、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されたことも考慮したとしています。

午後には裁判所が勾留を認め、その後、青葉容疑者は医師が常駐している大阪 都島区の大阪拘置所に移送されました。

今後、体調に配慮しながら拘置所内で取り調べが行われることになっています。

青葉容疑者は、逮捕前の任意の事情聴取に対し「自分の小説を盗用されたから火をつけた」などと話し、27日の取り調べでも会社側に恨みを持っていたといった内容の供述をしているということです。

警察は、平成以降、最も多くの犠牲者が出た殺人事件の詳しいいきさつについて、捜査を進める方針です。
伏見警察署に入った様子
青葉真司容疑者を乗せた車は、前後を捜査車両に挟まれ、27日午前8時すぎ、捜査本部が置かれている伏見警察署に入りました。

青葉容疑者はストレッチャーに乗せられマスクを着けていて、顔や腕の皮膚のところどころが赤く、やけどのあとが見えました。

そして横たわったまま目を開けて、集まった報道陣を見ていました。
大阪拘置所に入った様子
青葉容疑者を乗せた車は午後5時半ごろ、大阪・都島区の大阪拘置所に入りました。

車の窓ガラスにはフィルムがはられていて、中の様子をうかがうことはできませんでした。
青葉真司容疑者は
警察や関係者によりますと、青葉容疑者は現在のさいたま市で生まれました。幼い頃に両親が離婚し、父親と兄と妹の4人で暮らしていました。

市内の定時制高校を卒業したあとは平成10年までの3年間、埼玉県の文書課で非常勤職員として働きました。翌年、21歳の時に父親は病死しています。

その後、兄弟とも連絡をとらなくなり、埼玉県春日部市のアパートで1人で暮らしていたとみられています。

平成21年には、母親の自宅近くの茨城県常総市に移り住みましたが、34歳の時にコンビニに包丁を持って押し入り、現金を奪ったとして逮捕されました。

当時住んでいた集合住宅の管理人によりますと、青葉容疑者の部屋はゴミが散乱していて、壁やパソコンの画面が、ハンマーで壊されていたということです。

管理人の男性は「夜中に目覚まし時計が鳴ったり、窓ガラスがベランダに散乱していたりと、苦情があった。片づけた状態というより蹴り飛ばした状態だった。逮捕されたあとの面会では終始、下を向きながら返事をして、ほとんど会話はなかった」と話していました。この事件の裁判では実刑判決を受けていました。

平成28年に出所し、38歳になった青葉容疑者は、さいたま市の更生保護施設に滞在したあと、現住所のさいたま市見沼区のアパートで、1人で生活していたとみられています。

施設の関係者は「青葉容疑者はおとなしい様子で周囲とトラブルはなく、あいさつやお礼、日常会話はできていた。読書が好きで、近くの図書館で本を読んだり借りたりしていた」と話していました。
病院での様子は
病院関係者への取材で入院中の青葉容疑者の状況がわかってきました。

青葉容疑者は事件の際にみずからも重いやけどを負い、これまで10か月余りにわたって、大阪と京都の病院で治療を受けてきました。全身の大部分をやけどしていて、当初、予断を許さない容体でしたが、皮膚の移植手術などを繰り返し受けて、会話ができる状態にまでは回復したということです。

ただ、両足のやけどは重く、現在もほとんどベッドに寝たきりの状態で、介助なしでは、食事もできず車いすに座ることもできないということです。

顔を除いて、全身のほとんどにガーゼや包帯が巻かれている状態で、軟こうを塗るなどして、治療を続けているということです。

青葉容疑者は病院のスタッフに対して、当初は趣味の電車の話をしたり、「頑張ります。治します」などと治療に意欲を見せていましたが、最近は「かゆい、痛い」などとたびたび不満を訴え、リハビリにも積極的には取り組もうとしなかったということです。

また、入院中は慢性的に38度ほどの発熱が続き40度近くの高熱が出ることもあったということですが、今月に入ってからは、比較的、体調が安定していたということです。
事件の経緯とこれまでの捜査
容疑者は事件3日前の7月15日、さいたま市の自宅から新幹線で京都駅に来たあと、宇治市にある京都アニメーションの本社や京都市伏見区にある現場の第1スタジオの周辺を行き来する姿が目撃されていました。警察は事前に下見をしていたとみています。

そして事件前日の7月17日、現場から5キロほど離れたホームセンターで、ガソリンを入れる携行缶やライター、大型のハンマーなどを購入し、台車に載せて移動していました。

この夜、第1スタジオの近くで野宿し、当日の18日は近くのガソリンスタンドでガソリンを購入。その30分後にスタジオに火をつけたとみられています。

事件後、青葉容疑者は現場近くで身柄を取り押さえられていましたが、警察によりますと、その際、「小説を盗用されたからやった」などと叫んでいたということです。

また入院中に行われた任意の事情聴取に対しても同様の趣旨の話をしたうえで、第1スタジオを狙った理由については、「いちばん多くの人が働いていて多くの負傷者を出せそうだと思った」と事前の計画性をうかがわせる話をしていたということです。

現場で複数の包丁が見つかったことについては、「犯行を邪魔する人がいたら、襲うつもりだった」、「埼玉の自宅を出る時から事件を起こすつもりだった」などと話し、病院の関係者に対しては「どうせ死刑になる」とも話していたということです。

警察はこれまでに青葉容疑者のさいたま市の自宅アパートを捜索していますが、この際、京都アニメーションの関連商品のほか、小説を書くためとみられる大量の原稿用紙を押収しています。

また、京都アニメーションがアニメの原作となる小説を公募した際、青葉容疑者が少なくとも2点の小説を応募していたことが明らかになっていますが、会社側は「形式が整っていなかったため、1次審査を通らなかった。内容に自社の作品との類似性はない」と説明しています。
事件で36人が犠牲に
事件が起きたのは去年7月18日の午前10時半すぎでした。

京都市伏見区にある「京都アニメーション」第1スタジオの正面玄関から男が押し入り、直後にガソリンをまいて火をつけました。

警察と消防によりますと、3階建ての建物は吹き抜けになっていて、巻き上がった黒煙はらせん階段をつたうなどして、あっという間に全体に広がったとみられています。

当時、中には、1階に12人2階に31人3階に27人の合わせて70人の社員が仕事にあたっていましたが、このうち36人が煙にまかれるなどして死亡しました。

一方、半数近くの社員がベランダや窓から飛び降りるなどして避難しましたが、多くが重いやけどやけがをして事件から10か月余りたったいまも、1人が入院を続けています。けががなかったのは1人だけでした。

36人が犠牲となった今回の事件。殺人事件としての死者数は平成以降で最も多くなりました。
事件後の京都アニメーションは
京都府宇治市に本社がある京都アニメーションは昭和56年に創業し、「けいおん!」や「涼宮ハルヒの憂鬱」など数々の作品を地方から発信してきました。

風景の緻密な描写や繊細な表現が特徴で、日本だけでなく海外のファンも多く、事件後に設けられた献花台には連日、大勢の人たちが訪れました。

また、33億円を超える寄付金も寄せられ、京都府の配分委員会を通じて、遺族や被害者に順次、届けられることになっています。
京都アニメーションは去年9月から業務を再開し、このうち事件後に初めて本格的に制作された映画、「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、新型コロナウイルスの影響で公開が延期になっていますが、近く上映が始まる予定です。

また中断していた若手アニメーターの養成塾も再開され、新たな塾生を迎え入れるなど、人材の育成も進められています。

一方、全焼した第1スタジオの建物は先月までに解体されました。跡地をどうするかはまだ決まっていません。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/k10012446581000.html

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