【西日本新聞】 厚労省の職員が「首相官邸が怒っている」と有識者会議の委員に発言。

(2019年02月15日)

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毎月勤労統計の
昨年1月以降の賃金上昇率が
過大になった問題で、

厚生労働省が
2015年に
同統計の調査手法変更に向けて開いた
有識者会議の当時の委員が、
厚労省の担当者から

「調査対象事業所の入れ替えで
14年の賃金上昇率がマイナス改定され、
首相官邸が怒っている」

と聞いたと
西日本新聞の取材に証言した。

調査手法に関しては、
当時の首相秘書官が
検討会開催前の15年3月、
厚労省に「問題意識」を伝えていたことも
明らかになっている。

手法変更に際し、
厚労省側が
政権の意向を意識していたことがうかがえる。

有識者会議は、
学識者やエコノミストら
計6人で構成する
「毎月勤労統計の改善に関する検討会」。

15年6~9月に6回開かれ、
調査対象事業所の入れ替え時に
賃金上昇率が変動することへの
対処法を議論した。

会議には
厚労省の担当部長、課長、課長補佐ら
3~4人が出席。

委員は雑談の中で職員から、
官邸を意識する発言を聞き

「検討会を開く理由がよく分かった」

と感じたという。

誰の発言かや
具体的な時期は
「記憶にない」と述べた。

別の委員は

「職員は慌てて対応策を考える必要があるようだった」

と振り返った。

検討会は
同年9月の第6回会合で

「調査手法の変更は
引き続き検討する」

との「中間的整理」をまとめたのを最後に
開かれていない。

一方、厚労省は17年、
調査対象事業所の
入れ替え方式の変更を
総務省統計委員会に申請。

18年1月から
新手法で調査が実施された結果、
賃金上昇率が
高めに出る要因となった。

毎月勤労統計は当時、
従業員30~499人の事業所は
2~3年ごとに
調査対象を全数入れ替える仕組みで、
入れ替え前後で生じる数値の変動を修正するため、
過去にさかのぼって
数値を改定していた。

15年1月の入れ替え時には
14年の数値が下方修正され、
多くの月の基本給と、
残業代を含む定期給与が
前年同月比でプラスからマイナスに転じた。

14年は政府主導で
賃上げを目指す「官製春闘」が始まった時期で、
賃金上昇率の行方が注目されていた。

検討会の議事録は
4~6回分が公開されていない。

厚労省は「多忙だった」ことを理由としており、
野党が追及を強めている。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/politics/article/486930/

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