【英国】独自の「”集団免疫”戦略」を修正し、外出を控えるよう呼びかける。

(2020年03月16日)

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英国政府に助言するため
専門家グループが
新たな報告書をまとめた。

英国政府が出した
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する
「集団免疫」アプローチは、

結果として
25万人もの命を奪う可能性があり、
保健医療機関の崩壊阻止に
ほとんど役立たないと、
厳しく評価している。

英国のボリス・ジョンソン首相は先週、

英国が
欧州隣国とは異なる
新型コロナウイルス戦略を採用する

と発表した。

ほとんどの国の政府は、
多くの人が集まる機会を抑制し、
隔離措置を課す「社会距離戦略」を推進することで、
ウイルスの拡散を抑制しようとしている。

しかし、ジョンソン首相は
このような措置を見送り、

アウトブレイクによる
保健医療システムの崩壊を防いで
感染拡大ピーク時に
最も脆弱な人々を保護するために、
他国と一線を画す計画を実施する

と発表した。

この戦略では、
人口の少なくとも60%が
新型コロナウイルスに感染し、
回復することが見込まれている。

感染者の多くは
軽度の症状しか現れない
比較的若い人たちだ。

英国政府は、
この戦略は結果的に、
脆弱なグループを感染から保護する
「集団免疫」をもたらす一方、
時間の経過とともに
安全対策について
非協力的になる人間の
「行動的疲労」を回避すると考えた。

ジョンソン首相が発表したこの戦略は
週末にかけて激しい批判にさらされた。

インペリアル・カレッジ・ロンドンに拠点を置く
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応チーム」が
3月16日に明らかにしたところでは、

この数日間で
政府の専門家チームは
ようやく、その政策が
「おそらく数十万人の死をもたらす可能性が高い」
(25万人の死者を出す可能性がある)こと、

そして、
保健医療システムが
保有する患者への対応能力と
リソースの最大8倍の需要に見舞われることになる
と認識するに至ったという。

インペリアル・カレッジで
感染症疫学を率いるアズラ・ガーニ教授は
3月16日に、

「集団免疫を獲得できる
と期待していましたが、
集団免疫アプローチでは
事態に対処できないことがわかりました」

と記者団に語った。

新たな報告書は代替策として、
他の多くの国と同様に、
一貫して感染者数を低く保つ
積極的な政策で
ウイルスを抑制することを提唱している。

誤りに気付いた英国政府は現在、
慌てて政策改善を試みているようだ。

ジョンソン首相は3月16日、
英国民に「不必要な接触」を避け、
人混みや混雑した場所へ行くことを控えるように求めた。

3月17日には、
多くの人が集まるイベントや集会を禁止し、
同居する家族が症状を示した場合、
家族全員が2週間の自宅待機を実行して
「食料や必需品の購入」のために出かけることさえ
控えるよう要請している。

「今の目的は、
感染者数の増加率を抑えることではなく、
エピデミック(局地的な流行)を逆行させることです」

とガーニ教授は説明する。

「数万人の死者で収まることを願います。

数千人で済むかもしれません」。

残念ながらこの報告では、
コロナウイルスのワクチンが生産されて利用可能になるまで、
隔離と社会距離の戦略を維持する必要があることも示唆されている。

ワクチンの生産には
18カ月かかる可能性がある。

インペリアル・カレッジの疫学者である
ニール・ファーガソン教授は、

「この危機から脱する唯一の戦略は、
ワクチン接種
または他の革新的なテクノロジーです」

と語った。

https://www.technologyreview.jp/nl/the-uk-is-scrambling-to-correct-its-coronavirus-strategy/

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