2号機でベントが機能せず、炉心損傷に至る。

(2011年03月14日)

smoke_white4.png

福島第一原発2号機

事故調査で見解

「ベント失敗か」規制委

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191128/k10012195121000.html

2号機では
原子炉隔離時冷却系が
津波襲来前から動作しており、

全電源を失った後も
これが動き続けたことから、
約3日間
注水を続けることができました。

この間、他の冷却系統での注水を行なうべく、
水没を免れた電源盤に電源車をつなぎ、
電源確保の作業を進めていましたが、

12日午後3時36分の
1号機の水素爆発により
ケーブルが損傷し、
電源車が使用不能となりました。

また、14日の午前11時1分には
3号機で水素爆発が発生し、
準備が完了していた消防車
及びホースが損傷し、
使用不能となりました。

同日午後1時25分に
原子炉隔離時冷却系の停止が確認された後、
減圧に時間がかかり、水位が低下、
炉心損傷に至り、
これと同時に水素が発生しました。

炉心損傷の後の
圧力容器
及び格納容器の損傷に伴い、
水素が
原子炉建屋に漏洩したと推定されますが、

2号機では
原子炉建屋上部側面のパネルが
1号機の水素爆発の衝撃で開きました。

このため、水素が外部へ排出され、
原子炉建屋の爆発が
回避されたと推定されます。

一方で、2号機からは
1~3号機の中で
最も多くの放射性物質が放出されたと
推定しています。

これは、1, 3号機では、
圧力抑制プールの水によって
ある程度放射性物質を取り除いてから
格納容器の外へ気体を放出する
「ベント」という操作が成功したことに対し、

2号機では
ベントのラインを開放することができず、
ベントに失敗、
格納容器から直接放射性物質を含む気体が
漏洩したためと推定しています。

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/outline/2_5-j.html

東日本大震災発生3日後の
2011年3月14日
午後6時。

福島第一原発2号機は、
重大な危機にさらされていた。

1号機、3号機でも手こずった
原子炉格納容器のベントが、
2号機では
本当にどうやってもできなかった。

原子炉の中心部である
圧力容器の水蒸気を逃がす「SR弁」を
人為的に開けて、
圧力が下がったところで
消防車で注水し
原子炉を冷やす試みも、
なかなかうまくいかなかった。

——— この後ぐらいに、
要するに、SR弁が
なかなか開かないというところから、
夜に行くぐらいのころ、
本店も含めてなのかどうかはともかく、
実際の退避は2Fの方に行っていますけれども、
退避なども検討しなければいけないのではないか
みたいな話というのは出ていた?

吉田

「出ています、

というか、これは、
あまりに大きい話になりますし、

そこでうちの本店から
言ってきたわけではなくて、

円卓で言いますと、
円卓がありますけれども、

廊下にも協力企業だとかがいて、
完全に燃料露出しているにもかかわらず、
減圧もできない、
水も入らないという状態が来ましたので、
私は本当にここだけは
一番思い出したくないところです。

ここで何回目かに死んだと、
ここで本当に死んだと思ったんです」

「これで2号機は
このまま水が入らないでメルトして、
完全に格納容器の圧力をぶち破って
燃料が全部出ていってしまう。

そうすると、その分の放射能が
全部外にまき散らされる最悪の事故ですから。

チェルノブイリ級ではなくて、
チャイナシンドロームではないですけれども、
ああいう状況になってしまう。

そうすると、
1号、3号の注水も
停止しないといけない。

これも遅かれ早かれ
こんな状態になる」

2号機ではいったん13日に、
格納容器から排気塔につながる
ベントライン上の弁を
二つとも開け、
いつでもベントできる状態にしていたのだが、

14日午前11時1分の
3号機の爆発で、

うち一つが閉じて、
開かなくなってしまった。

午後4時15分に
原子力安全委員会委員長の班目春樹から
直接電話があり、

ベントができないなら
原子炉圧力容器のSR弁を
すぐに開けろと言われた。

が、これも作業を始めてから
1時間たったが開かなかった。

ベントの弁と同様、
平素は簡単な操作で開くのだが、
125ボルトの直流電源を供給するバッテリーが
上がってしまったのか、
うんともすんとも言わなかった。

福島第一原発では、
所員の自家用車からはずしてきたり、
福島県内のカー用品店で買ってきたりして、
12ボルトの自動車用バッテリーをかき集めていた。

東電本店や、
新潟県の柏崎刈羽原発など
ほかの発電所からも送ってもらった。

それらを10個直列につないで
120ボルトのバッテリーにして
装着してみたが
うまくいかない。

10個では
電圧が定格より5ボルト足りないからと
11個つなぎにすれば良いのではないか、

いや、これは電圧でなく
電流が足りないから
120ボルトのバッテリーをもう1セットつくり、
2セットを並列つなぎにしたほうがいいのではないか、

と試行錯誤を繰り返したが
なかなか開かなかった。

このままSR弁が開かないと
圧力容器内の圧力は高止まりし、
消防車の低いポンプ圧力では、
いつまでたっても
炉に水を注ぎ込むことができない。

早く水を入れて冷やさないと、
炉はますます高温高圧になる。

水が蒸発して水位が下がり、
核燃料が
水面から顔をのぞかせることになる。

核燃料は
水からむき出しになると、
そこから2時間で
自らが発する高熱で溶け落ちる。

いわゆるメルトダウンだ。

さらに2時間で
圧力容器の壁を溶かして
穴を開けてしまう。

メルトスルーと呼ばれる事態だ。

http://www.asahi.com/special/yoshida_report/1-2.html

コメント