ドイツで「帰国助成法」が成立。(ほとんど効果なし)

(1983年11月)

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1983年11月,連邦議会は,
外国人の帰国を促すために
帰国助成法(RUck-kehrhilfegesetz)を可決した。

帰国助成を受けて帰国した外国人は
約38,000人であった。

これは年間流出者の約10%であり,
決して多いとはいえない。

1982年以後の流出者の多くは,
労働市場の不況を理由に西ドイツを去った。

しかし,大半の外国人は,
困難iな状況にもかかわらず
継続して西ドイツに滞在する方を選択している。

1983年9月末現在で,
外国人の29%が滞在期間6年以下,
17%が6~10年,
54%が10年以上であった。

また,1980年の調査では,
16年以上12%,
11年~15年17.9%,
7年~10年56.4%,
3年~6年9.2%,
2年以下4.5%となっている。

外国人労働者の長期滞留傾向が
恒常化しているのである。

この長期滞在傾向以外に
帰国助成政策に期待されるほどの成果を
もたらさなかったもうひとつの原因は,
外国人労働者の募集以来
徐々に形成されてきた独自の雇用構造にあった。

キュールの指摘するように,

「外国人の相当部分が,
ドイツ人労働力の雇用が限界にぶつかっている
一定の経済部門や地域に集中している」

のである。

外国人労働者の大部分が,
労働条件や労働環境が極度に劣悪で,
ドイツ人労働者の失業者ですら敬遠するような職場で働いているということが,
逆に常に外国人労働力を不可欠とする雇用構造を作り上げ,
そのような雇用構造が
外国人労働者の帰国促進とは反対に
むしろ足止めの働きをしているのである。(p.25-26)

http://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/G0000006y2j2/file/8656/20120312190243/C050037000508.pdf

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