外国人労働者の4割が、「特定技能」を知らないと回答。

(2020年02月25日)

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外国人労働者の就労を
大幅に拡大する
改正入管難民法の施行から
4月で1年となるのを前に、

岐阜新聞など全国12の地方紙が、
外国人労働者300人超の声を集める
協働調査を実施した。

その結果、
改正の目玉として新設された
新在留資格「特定技能」について、
4割が「知らない」と回答。

特定技能に必要な
ビザの取得を望む人も
43%にとどまり、

制度の周知や
準備不足の実態が浮かび上がった。

◆困り事「言葉の壁」最多

特定技能は、
人手不足の介護や農業など
14業種が対象。

生活に支障のない日本語能力があり、
省庁指定の試験を経て取得するほか、
技能実習生からの移行も含め、
政府は初年度だけで
最大4万7千人の受け入れを見込んでいた。

実際は
昨年末時点で1621人と
伸び悩んでおり、

協働調査で
も制度の存在そのものを知らない人が
41%に上った。

生活実態について尋ねると、
ほとんどが

「日本が好き」

「日本に来てよかった」

と答える一方、

33%が

「親しい日本人はいない」

とした。

現在の賃金に納得している人は62%。

職場環境には85%が「満足」と答えた。

永住希望はほぼ半数。

日本に家族を連れてきたい人も
約6割いた。

困っていることは、

①言葉が通じない
②物価が高い
③文化や習慣が違う
④趣味や遊びの時間・場所がない
⑤医療・法律・税金

-の順だった。

生活に必要な手助けは、

①日本語の勉強
②日本人と仲良くなる行事
③分かりやすい日本語ニュース
④災害時の多言語情報
⑤日本人の相談相手

-など。

必要な情報としては
「普段の生活の決まり」も挙げられた。

騒音やごみ出しを巡る住民とのトラブルが
全国各地で報告される中、
外国人側も
地域のルールを知りたがっている傾向がうかがえた。

外国人政策に詳しい
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの
加藤真研究員は

「特定技能の制度を、
もっと分かりやすい形に
改善する必要がある」

と指摘。

特定技能のビザ取得には
生活に支障のない程度の
日本語能力が必要だが

「今回の調査から、
多くの人が日本語習得に最も課題を抱え、
支援を必要としている実態が分かった。

日本語習得を
本人や受け入れ企業だけの責任とせず、
国や地域全体で対応していくべきだ」

と話した。

調査は全国12地方紙が企画。

共通のアンケート用紙で
昨年12月~今年2月に取り組み、
おおむね来日5年以内の
技能実習生や留学生ら
32カ国・地域の305人から回答を得た。

◆「教科書と違い、絶望」 言葉通じず孤独感

岐阜県は
人口に占める外国人の割合が
全国で4番目に高く、

近年、
窓口を開く公的機関への
生活相談が増えている。

岐阜新聞など12地方紙が実施した
外国人労働者に関する協働調査では、

回答者305人のうち半数以上が
「言葉が通じない」を
生活で困っていることに挙げた。

有識者は

「労働力としてだけでなく、
生活者としての支援が急務」

と指摘する。

「日本に来て最初の1年間は嫌だった」。

アンケートに回答した、
インドネシア・ジャワ島出身の
技能実習生ハムバリー・ハビルンさん(25)=岐阜市=は、

母国で就職活動をしたが決まらず、
大学の同級生に誘われて
2016年9月に来日。

岐阜市内の板金業で働いている。

職場には
インドネシア人が10人ほどいて
話し相手には困らなかったが、
自分も含め
日本語が十分に話せる人はおらず
「仕事以外の情報が全くなかった」
と来日当時を振り返る。

ハムバリーさんを誘った
同国出身のアルビー・アクラムル・ザルダさん(25)=可児市=も
同じころから、
可児市内の製造業で
技能実習生として勤務。

「日本語の教科書に載っている言葉と
暮らしの中で使う言葉が
全く違うと分かり、絶望した」。

日本語を話せなくても仕事はできたが、
ごみの捨て方など
生活をしていく上では
戸惑いの連続だった。

2人は
可児市国際交流協会の教室に通って
日本語能力試験に挑むなどし、
何とか日本語でコミュニケーションを取れるようになったが

「言葉が通じなくて
孤独になっている人は多いのでは」

と心配する。

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