【東京高裁】「みずみずしいスイカ写真事件」で類似性を認める判決。

(2001年06月21日)

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第一審の東京地裁は
類似性を否定する判断をしましたが、

控訴審の東京高裁は、
被写体の決定の創作性も
写真の著作物の保護の対象であるとした上で、
著作権侵害を肯定する判断を下しました。

「本件写真は、そこに表現されたものから明らかなとおり、
屋内に撮影場所を選び、
西瓜、篭、氷、青いグラデーション用紙等を組み合わせることにより、
人為的に作り出された被写体であるから、
被写体の決定自体に独自性を認める余地が十分認められるものである。

したがって、撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、
シャッター速度の設定、現像の手法等において
工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分についてのみならず、
被写体の決定における創造的な表現部分についても、
本件写真にそのような部分が存在するか、存在するとして、
そのような部分において
本件写真と被控訴人写真が共通しているか否かをも
検討しなければならないことになるものというべきである」

https://www.saegusa-pat.co.jp/copyrighthanrei/1960/
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難しいのは、何をもって類似性があるといえるかという点ですが、
基本的には、2つの作品のあらゆる状況を総合考慮して決定されます。

スイカという対象はもちろん、
配置及び構図、色使い、背景、大きさ、種類、個数など、
全ての事情をみて判断します。

スイカ事件の控訴審では、
被告が、原告の写真と同じような構図等を思いつくのは不可能ではないが、
相当な偶然というべきだとして、類似性を認めました。

ただ単に、スイカの写真であれば、
多くの人が簡単に思いつくことですが、
上の写真のスイカは、
いかにもみずみずしいことが強調されるよう、
配置や構図、スイカの切り方、並べ方も
工夫されています。

微妙なところですが、
被告の写真も、
スイカのみずみずしさを強調するための配置や構図、
スイカの切り方、並べ方が重要な部分で一致している
と評価できます。

このように考えたのが控訴審であり、
原告の写真の撮り方は
誰でも容易に思いつく範囲内のものだと考えれば、
地裁のように類似性を否定する結論になるでしょう。

https://www.excite.co.jp/News/column_g/20150518/Imedia_64218.html?_p=2
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https://youtu.be/0hQBcPTRUog?t=3718

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