【拓銀】道銀との合併延期を発表。

(1997年09月12日)

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9月12日の道銀との合併延期の発表は,
拓銀の市場における評価に関して
決定的な意味を持った。

拓銀が不良債権を過少に公表する努力をし,
不良債権を巧妙に隠蔽しても,
市場および マスコミはそれを見透かし,
業績の悪化とも相まって
株価は下落し続けた。

そこで最後の頼みとしたのが
道銀との合併であったにもかかわらず,
その延期を発表したということにより,
拓銀は立ち直る機会を
もはや失ったものと評価された。

その結果,
第 5 表のように,
拓銀の株価 は 9 月 12 日の 108 円から下がり続け,
9 月 17 日にはついに 100 円の大台を割り込む事態となった。

その後も株価は下落を続け,
11 月 14 日には 65 円にまで低下した。

株価の下落は,
市場における拓銀の銀行としての信用力の低下を
白日の下に晒すことであり,
預金者も預金の払戻という形でそれに対応した結果,
預金の流出が発生することになった。

預 金の引出しは本州の店舗だけでなく,
微減にとどまっていた道内でも広がり,
9 月の 1 カ月間 で
2500 億円以上も減少することになった。

こうして拓銀の資金繰りは
ますます悪化していくことになるが,
ここに至って拓銀は,
株価下落→信用力の低下→預金流出という
悪循環に陥ってしまった 28)。

http://r-cube.ritsumei.ac.jp/bitstream/10367/1736/1/be415_01hattoriyasu.pdf

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