ロバートスミッソンがニューヨークで「アースワーク展」を催す

(1969年)

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集合写真

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ロバート・モリス「earthwork」

ニューヨーク、ドワン画廊で行われた「アースワーク」展に出品された作品は大規模な野外作品で、14人の作家の大半は若く無名だったが、ハーバード・ベイヤーやクレス・オルデンバーグらも名をつらねていた。これらの作品はすべて、これまでの考え方にあからさまに異を唱えていた。大きすぎて収集に向かないのだ。そのほとんどは、作品本体の代わりに写真を展示することで、人手に渡すことを拒む彼らの姿勢を強調していた。土くれさえが貴重な商品になるという未来を描いた、ブライアン・W・オールディスの反ユートピアSF小説の題に因んだ「アースワーク」展は、アメリカの環境の現状と未来に関して痛烈に悲観的なメッセージを送っているのだ。
この見方は、当時の政治的風潮と軌を一つにしている。当時は環境保護運動が急速に進み、政治的活動、とりわけベトナム戦争反対への参加は。アーティストたちにとって事実上義務と目されていた。従来の意味においては何ら政治色を持たないものの、「アースワーク」展は、アトリエや画廊と言った空間的束縛からアートの概念を開放する意図を示した点において明らかに反体制的だった。この展示に参加したアーティストたちは、ぎこちないながらも、環境保護運動の先駆者たちと手を組んで大地、そして人と大地との関係に目を向けさせたのだ。〜しかし「アースワーク」展に見られる、精彩を欠いた場所の感覚は当時の環境保護運動の動きとは違い、あきらかに非機能的だった。この展示の中心に置かれ、これまた「アースワーク」の標題を掲げているのは、ロバート・モリスの手になる直径25フィートほどの小さな盛り土で、その上にスチール製のロッドやパイプ、フェルトの橋切れや材木の断片有刺鉄線のこいるなどが散りばめられていた。モリスのアンチ・フォルムのインスタレーションの典型であるこの作品は一種の象徴で、この展示に出品された作品に見られる、一時的でアンチ・ロマンチックな自然観を表している。このような一見何気ない断片や物をまき散らしただけの作品は、風景の理想化概念のみならず、森巣自身の初期ミニマル派の作品に見られる、静的でフェティシズム化した性質に挑戦状を叩き付けているのだ。「アースワーク」展後ややあって、モリスはこう書いてい。「アートが今その手中に持っているものは変わり易い物で、時間的空間的に完成点に到達する必要のないものである。作品とは逆行不能の過程であり、静的な絵や物の完成を見て終わるという考え方は、もはやそれほど妥当とは言えなくなった」

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