本人の臓器提供の意思表示、不要 脳死移植で法改正試案

(2000年08月24日)

011482000年08月24日朝刊3総合00300599今秋に予定されている臓器移植法の見直しに関連し、厚生省の「臓器移植の法的事項に関する研究」グループ(分担研究者=町野朔・上智大学教授)は、臓器提供者本人の意思が不明な場合、家族が書面で承諾すれば可能などとする移植法の改正試案を盛り込んだ報告書をまとめた。現行法が提供を認めていない十五歳未満を含めた未成年者については、とくに親権者の承諾を求めている。いずれの場合も本人が生前に提供を拒んでいる場合は提供できないとした。
報告書は一つの研究グループがまとめたもので、改正案としてそのまま国会に提案されることはないものの、論議のたたき台の一つにはなりそうだ。しかし、脳死移植に道をひらいた現行法成立のポイントである提供者本人の意思表示を不要とする考えは抜本改正につながり、反発は必至だ。
報告書はほかに、本人が提供意思を示している時は、家族が拒まなければ提供できるとしている。現行法は、本人が脳死判定を受け入れ、脳死後の臓器提供を書面で表示し、家族も文書で同意した場合に提供を認めている。意思表示が有効なのは十五歳以上で、十五歳未満は提供できない。
研究グループは、子どもの臓器移植に向けた法改正を中心に論議していた。その実現のため、「十五歳未満の場合は特則を設けて提供を可能にする」案も検討したが、「便宜主義的な法改正は避けるべきだ」という理由で退け、本人の提供意思表示を絶対条件とするのを改めた。

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