子どもの臓器移植、小児科医らが対立 奈良で学会が会合

(2009年04月20日)

005072009年04月20日朝刊2社会02600651文字臓器移植法の改正議論の中で、脳死からの臓器提供ができる年齢制限をなくし、14歳以下の子どもも提供できるようにする意見について、19日まで奈良市で開かれた日本小児科学会の会合で、慎重な小児科医らと推進派の小児科医らとの間で意見が対立した。=1面参照
19日の同学会倫理委員会では、いったん臨床的に脳死と判定された子の中に何カ月もたって心停止に至る子がいたり、少ないとはいえ脳波などが戻る子がいたりするとして、子どもの脳死の実情をもっと市民に知ってもらう努力をすべきだと訴える意見が相次いだ。「脳死を人の死とはできない」との声もあった。
ただ、こうした臨床的脳死判定に対しては、判定項目に不備があるとの指摘もある。
倫理委は「親の同意だけで臓器提供できるようにすると、子どもの自己決定権を脅かす可能性がある。慎重な検討が必要だ」との意見を近く発表することを決めた。18日の代議員総会に出席した医師らによると、質疑応答では脳死移植に議論が集中した。
慎重論だけでなく、「国内で移植を受けられず亡くなっていく子がいる」などと子どもも国内で移植が受けられるようにする改正を求める声も。横田俊平会長(横浜市立大教授)は「移植を受ける子の人権も考えなければいけない」と訴えたという。
横田会長は09年1月、改めて脳死移植を検討する委員会の設置を理事会に提案。しかし、子どもの脳死移植に慎重な立場を取る医師らが反発して作業は難航。横田会長が18日に「委員会は中立的立場」と言明して委員の人選を始めることが認められた。