崖の上のポニョ

(2008年07月19日)

『崖の上のポニョ』(がけのうえのポニョ)は、2008年7月19日に東宝による配給で公開されたスタジオジブリ制作の長編アニメーション映画、およびそれの主題歌。宮崎駿による2004年の『ハウルの動く城』に続く4年ぶりの作品で、原作・脚本・監督の3つすべてを担当するのは、2001年公開の『千と千尋の神隠し』以来7年ぶり。

海沿いの街を舞台に、「人間になりたい」と願うさかなの子・ポニョと5歳児の少年・宗介の物語。宮崎が監督を務める作品で暴力表現が皆無な作品は、1989年の魔女の宅急便以来19年ぶりである。

本作はハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話『人魚姫』(1836年発表)をモチーフとした作品とされている。しかし、『人魚姫』をそのまま原作としては使用しておらず、宮崎は「キリスト教色を払拭」するとしたうえで、舞台を現代の日本に移すなど大きな変更を行っている。ただ、ヴェネツィア国際映画祭での記者会見では、宮崎から「製作中に『人魚姫』の話に似ていると気付いたものの、元来意図的にベースとしたわけではない」という旨の発言も出ている。なお、同記者会見において宮崎は、ポニョ発想のルーツを質問され「9歳の頃初めて読んだ文字の本がアンデルセン人魚姫であり、そこにある『人間には魂があるが、人魚は"物"であり魂を持たない』という価値観に納得が行かなかった事が、遡ればポニョの起点なのかもしれない」と答えている。

本作では、天変地異が起こっても、理由が説明されることなく、ファンタジーと現実社会が入り混じった物語構成となっている。この点について、宮崎は「ルールが何にも分からなくても分かる映画を作ろうと思った」「順番通り描いてくと、とても収まらないから思い切ってすっ飛ばした」「出会って事件が起きて、小山があって、最後に大山があってハッピーエンドというパターンをずっとやってくと腐ってくる、こういうものは捨てなきゃいけない」と話している。

(第8回ミンモ・ロテッラ財団賞、フューチャー・フィルム・フェスティバル・デジタル・アワード特別表彰、東京国際アニメフェア2009・第8回東京アニメアワード・アニメーションオブザイヤー・国内劇場部門優秀作品賞・原作賞・監督賞、第32回日本アカデミー賞・最優秀アニメーション作品賞、大藤信郎賞)

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