山梨大学医学部付属病院「持病のない20代の感染者が髄膜炎を発症し意識障害。」

(2020年03月07日)

body_nou.png

新型コロナの陽性患者が、
肺炎に加え
髄膜炎を発症していたことが分かり、
衝撃が広がっている。

感染したのは、
山梨県内の20代男性。

先月28日と今月2日に、
それぞれ別の医療機関を受診したが、
検査は実施されなかった。

自宅療養中の6日に
部屋の中で倒れているのが発見された。

男性は重症で意識障害がある。

持病はないという。

これまで、重症化するのは
高齢者と基礎疾患がある人とみられていただけに、
恐ろしい症例だ。

男性の入院先の山梨大医学部付属病院は
おととい7日深夜の会見で、
病院独自で髄液のPCR検査をしたところ、
陽性が確認されたと明かした。

感染者が訴える頭痛は
髄膜炎による恐れもあるとした上で、

「これまで(診察で)見過ごされている可能性がある」

と指摘。

新型コロナによる髄膜炎は
中国の論文にも記述があるという。

髄膜炎と新型コロナに関連性はあるのか。

山野美容芸術短大客員教授の
中原英臣氏(感染症学)はこう言う。

「インフルエンザウイルスが髄膜に侵入し、
炎症を起こす『インフルエンザ脳症』などがよく知られていますが、
コロナウイルスと髄膜炎の関連性は不明です。

極めてレアなケースとみられます。

しかし、髄液から陽性反応が出た以上、
政府と医療機関は
これまで以上の警戒が必要でしょう。

髄膜炎は死亡リスクもある
危険な病気です」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/270150

この髄膜に、
細菌やウイルスが感染して炎症が起こると
髄膜炎になります。

髄膜炎は大きく分けて、
「ウイルス性髄膜炎」と
「細菌性髄膜炎」の2つがあります。

細菌性髄膜炎は、
ウイルス性髄膜炎よりも
非常に重い病気です。

ウイルス性髄膜炎は
通常1週間ぐらいで治癒し、
後遺症もほとんどみられません。

一方、細菌性髄膜炎は
現在の最善の治療を行っても、
死亡率は数%~十数%と高く、
後遺症も患者さん全体の
20~30%程度にみられます。

https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/meningitis/

3月7日に山梨県で20代男性が、
日本で初めて
新型コロナウイルス性髄膜炎
(脳と脊髄を包む膜の炎症)と診断された。

北京でも
新型肺炎患者の脳脊髄液から
新型コロナウイルスが検出され、
中枢神経系への侵入例として注目されている。

中国の独立系メディア「財新」取材班が、
”未知のウイルス”の正体に迫った。

新型コロナウイルスが
肺炎だけでなく、
脳炎を引き起こすかどうかが
注目を集めている。

このほど
首都医科大学付属北京地壇病院は、
新型肺炎患者の脳脊髄液
(訳注:脳室やクモ膜下腔を満たす無色透明の液)から
新型コロナウイルスが検出され、
ウイルス性脳炎であると
臨床診断されたと発表した。

これは、新型コロナウイルスが
患者の中枢神経系を攻撃する可能性を示す
1つの証拠だ。

■56歳男性患者は顎が頻繁にけいれん

ウイルス性脳炎は
比較的よくみられる中枢神経系の感染症だ。

患者の発症時の臨床症状は
けいれん、意識障害、反応の鈍さ、四肢まひ、
髄膜(訳注:脳と脊髄を包む膜)刺激症状などである。

地壇病院で治療を受けていた56歳の男性患者は、
新型肺炎の発症から10日目にいらいらし始め、
落ち着かなくなった。

これは軽度の神経系ダメージの
症状の1つとみられている。

そのとき患者は
危篤状態となっていた。

急性呼吸不全となり、
すぐさまICU(集中治療室)に運び込まれ、
気管挿管(訳注:気道確保方法の1つ)などを受けた。

4日間の治療を経て
呼吸不全が改善し、
医師は鎮静
(訳注:薬物などで神経の興奮を鎮めること)
を中止した。

だがこのとき、
患者は
顎と口元が頻繁にけいれんし、
げっぷも続き、
四肢の筋張力が高まり、
両膝の反射は過剰になり、
両足のバビンスキー反射
(訳注:病的な反射の一種)などの症状も出ていた。

神経系がダメージを受けた際の
典型的な臨床症状である。

こうした症状は、
ウイルス以外にも、
患者自身の基礎疾患や
酸素不足が誘因になることがある。

だが、気管挿管によって
患者の酸素不足は
速やかに改善していた。

頭部CT検査や
脳脊髄液の生化学検査
(訳注:血液や尿、細胞の一部を採取して行う化学的な分析)
を経て、

地壇病院は
患者の基礎疾患が
誘因である可能性も排除。

最後に
患者の脳脊髄液から
新型コロナウイルスを検出し、
臨床症状とあわせて
ウイルス性脳炎と診断したのだ。

■どうやって脳脊髄液に侵入したのか

ただ、脳脊髄液から
新型コロナウイルスが検出されたからといって、
新型コロナウイルスが
中枢神経系に感染したと確定できるだろうか。

あるウイルス学者や臨床医師は、
確実な証拠を得るには、
患者の脳の生検
(訳注:生きた人間の組織の一部を採取して行う検査)
で新型コロナウイルスが発見される必要があると指摘した。

この患者は
2月25日に全快し退院したため、
脳の生検を受けていない。

とはいえ、
この症例は
重症・危篤の新型肺炎患者を治療するうえで
非常に参考になる。

救急を担当する地壇病院重症医学科主任の劉景院は、
科の公式SNSアカウントで、

「一部の
すぐに死亡した新型肺炎患者は
意識不明状態になったことがあり、
ウイルス性脳炎が
原因の1つかもしれない」

と、医療関係者に注意を促した。

新型コロナウイルスは
どうやって患者の脳脊髄液に侵入したのか。

脳炎の治療経験を持つ
新型肺炎指定病院重症科のある医師によると、
1つの可能性は
咽頭からの侵入だ。

この患者の咽頭には
新型コロナウイルスが集中していた。

のどは脳に近く、
とくに副鼻腔は
脳から1層の組織を隔てただけだ。

だが、
この侵入経路である可能性は
とても低いという。

「ほぼすべてのウイルス性脳炎は、
血液を通して感染するものだ」

と前出の医師は話す。

今回の患者の場合、
まずウイルスが肺に感染し、
その後
ほかの部位に感染した
と同医師はみている。

人体の血液は
肺を通って酸素と結合し、
それから全身をめぐる。

肺胞にウイルスがいる場合、
ウイルスは肺胞から血液に入り、
それから脳脊髄液へと侵入する可能性が
非常に高い。

ほかにも、
新型肺炎患者の病理解剖
(訳注:病死者の死因などを解明するために行う解剖)
によって、
ウイルスがリンパ系に進入しうることがわかった。

脳脊髄液が
リンパ系を通じて
ウイルスに感染した可能性も高いという。

ひとたび患者が説明不能な意識不明状態に陥ったならば、
ウイルス性脳炎を疑うべきだ。

この点でも
地壇病院の症例が参考になる。

財新の調査によると、
湖北省武漢における初期の数十の死亡例において、
意識不明状態になったケースが多く見られた。

だが、当時の症例に関する資料は限られており、
専門家チームも
意識不明の原因を確定できていない。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200313-00336503-toyo-bus_all

コメント