北京市の朝陽病院に、肺ペスト患者2名が入院。

(2019年11月)

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振り返れば昨年末から、
中国で立て続けに
感染症のニュースが報じられた。

まず2019年11月上旬、
北京でペスト騒ぎがあった。

北京市の朝陽病院に
肺ペスト患者2名が入院した
と伝えられたからだ。

北京市民が、
感染の危険が
自らにも及ぶのではないか
とネット上で騒ぎ立てた。

その後、
内モンゴル自治区から移送された患者だと表明されて
騒ぎが少し落ち着いたところに、

11月17日、
内モンゴルで新たに2名が
ペストに感染したことが報じられ、
人から人への感染かと緊張が走った。

こちらは野ウサギの生肉を食べて
腺ペストに感染したもので、

前述の
肺ペスト患者との関連性はない
とされている。

実のところ、中国では
近年でもペスト症例が散見されている。

この10年間を見ても、

2009年に12件、
2010年7件、
2011と2012年にそれぞれ1件、
2014年3件、
2016年と2017年にそれぞれ1件。

ペストは
「遠い中世の疫病」ではないのだ。

だがこれらはすべて
甘粛省、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、
内モンゴル自治区など、
北京から離れた地方で起きているため、
北京の人々にとっては「遠い田舎」の話か、
ペストが国内でいまだ発生していること自体
知らない人も多かったのではないだろうか。

それが

「もしかすると自分たちも
感染するかもしれない」

と思った途端
大騒ぎになったのである。

中国のペストの歴史を振り返ると、
1894年香港での大流行が注目される。

中国南部の広東省では
1866年から腺ペストが確認されていたが、
1892年には広東省全域に患者を増やし、
1894年省都である広州で流行したのち、
香港へ伝播したという。

この時、病原体の解明のため
日本から香港へ派遣されたのが、
東京大学医科学研究所の前身である
「伝染病研究所」初代所長の北里柴三郎と、
後に第二代所長となる青山胤通たちだった。

彼らは病原体の特定だけでなく、
患者の治療や消毒、ネズミの駆除など
衛生環境の改善にも尽力した。

1899年に神戸から始まった
日本でのペスト流行時の防御には、
この香港での経験が生かされたという。

https://www.rcaid.jp/news/essay026.html

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