【WTO】「都市封鎖が長期化すると、食料危機になる可能性がある。」
(2020年04月02日)現在進行中の
新型コロナウイルス危機に
当局が適切に対応できなければ、
世界的な食料不足が発生する恐れがある
と、国連(UN)専門機関の
国連食糧農業機関(FAO)と
世界保健機関(WHO)、
関連機関の世界貿易機関(WTO)の
3機関のトップが1日、警告した。
世界の多くの政府が
ウイルス拡散を遅らせるため
ロックダウン(都市封鎖)に踏み切ったが、
これにより
国際貿易と食料品のサプライチェーンに
深刻な影響が出ている。
多くの国で、
ロックダウンの対象となった都市の住民が
パニック買いに走り、
スーパーマーケットの陳列棚が空になった。
これは食料品のサプライチェーンの
脆弱(ぜいじゃく)さを示している。
FAOの屈冬玉(Qu Dongyu)事務局長、
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長、
WTOのロベルト・アゼベド(Roberto Azevedo)事務局長は
連名で共同声明を出し、
「食料品の入手可能性への懸念から
輸出制限のうねりが起きて
国際市場で
食料品不足が起きかねない」
と述べた。
これは根拠のない脅しではない。
2007年の世界金融危機後には、
コメの生産国であるインドとベトナムが
コメの国内価格の上昇を避けようと
輸出を規制した結果、
コメの国際価格が急騰して
一部の発展途上国で暴動が起きた。
ロシアは、
小麦の国内価格の上昇を防ぐため
すでに備蓄の放出に踏み切り、
輸出規制も検討している。
3機関の警告は
ロシアを念頭に置いている可能性がある。
■労働者を集められない! 農業混乱の恐れ
より長期的には、
封鎖命令と
人の移動制限によって
農業労働者の確保や
食料品の市場への出荷が不可能になり、
農業生産が混乱するリスクがある。
速やかに打開策を見いださない限り、
米国では
メキシコからの季節的農業労働者の不足で
多くの作物の生産がリスクにさらされる。
西欧でも
北アフリカと東欧からの労働者の不在により、
同様の結果を招きかねない。
FAOのシニアエコノミスト、
アブドルレザ・アッバシアン(Abdolreza Abbassian)氏は、
AFPの電話インタビューで、
「この危機は始まったばかりだ」
と話し、
生産よりもむしろ
輸送やロジスティクスの問題だと述べ、
人口と輸出国としての役割の大きさから、
先月25日から全土で
3週間のロックダウンに入ったインドの状況が
鍵を握るとの見方を示した。
FAO、WHO、WTOの事務局長らは、
食料品のサプライチェーンに
直接関わる人と
それ以外の人両方の健康を守り、
食料品のサプライチェーンを維持する上で、
食料の生産・加工・流通に携わる労働者を
保護する必要があると強調した。
イタリアとフランスでは、
スーパーマーケットのレジ係が
新型コロナウイルスに感染した例もあり、
一部の労働者は
感染予防措置や防護具が不十分だとして
職場を放棄。
米国でも、
高級スーパーの
ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)で
職場放棄が起きた。
FAO、WHO、WTOは、
新型コロナウイルス対応策が引き起こす
食料品不足を避けるには
協力することが必要だと訴えた。
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