【日経】スペインかぜのパンデミック、原因は中国人労働者の移送だった?

(2020年03月15日)

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■起源の解明は困難でも、「中国に注目せよ」と歴史家は言っていた

1918年に始まった
「スペインかぜ」と呼ばれる
インフルエンザのパンデミック(世界的な大流行)は、
世界中で5000万人の命を奪い、
史上最悪の疫病の1つとされている。

この流行の発生地については、
科学者の間で何十年も論争が続いていて、
フランス、中国、米国中西部など、
さまざまな場所が提唱されている。

起源を特定できないため、
科学者はいまだに、
ウイルスを生み出した条件や、
将来同じようなパンデミックを起こしうる要因といった、
この病気の実像をつかめずにいる。

スペインかぜは、
パンデミック発生と同じ1918年に終結した
第1次世界大戦よりも
多くの命を奪った。

近年の研究により、
その第1次世界大戦中の
忘れられたエピソードが、
スペインかぜの拡大の
発端になった可能性が指摘されている。

それは、
中国人労働者を
列車に閉じ込めて
カナダを横断させ、
ヨーロッパまで運んだことだ。

カナダ、ウィルフリッド・ ローリエ大学の
歴史学者マーク・ハンフリーズ氏によると、
西部戦線で英軍とフランス軍の後方支援を行うために、
9万6000人の労働者を中国から動員したことが、
パンデミックの原因になった可能性があるという。

氏が発見した記録が、
それを裏付けているとしている。

ハンフリーズ氏の論文が
学術誌「War in History」に発表されたのは
2014年1月だった。

その中で氏は、
この仮説を検証するためには、
スペインかぜの犠牲者から
ウイルスのサンプルを採取して
調べる必要がある
と認めている。

こうした証拠があれば、
スペインかぜの起源を
1つの場所に絞り込むことが可能になるだろう。

しかし一部の歴史学者は、
氏の主張には説得力がある
と感じている。

「これらの記録は、
歴史学者にとっては
ほぼ決定的証拠と言えるものです」

と、
米国における1918年のパンデミックを研究している
歴史学者のジェームズ・ヒギンズ氏は言った。

「当時のパンデミックについて、
多くの疑問に答えてくれます」

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/031300172/

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