中国人医学者「COVID19は、人の免疫細胞を殺すことを発見した。」(HIVとは異なり共倒れ)

(2020年04月07日)

meneki_bad.png

《要点》

・新型コロナウイルスは、免疫細胞に感染し、その機能を無効化する。
・免疫細胞に感染できる秘密は、新型コロナウイルスの突起「スパイク」にあった。
・新型コロナウイルスは、HIVのように免疫細胞を介して複製・増殖することはない。

《本文》

研究が進むにつれて、
研究者たちは

新型コロナウイルスの
破壊的な能力を
新たに発見しました。

上海の復旦大学
ル・ル氏と

ニューヨーク血液センターの
チャン・シボ氏の

研究者チームによって、

新型コロナウイルスが
人の免疫細胞を殺すことを発見したのです。

この免疫破壊作用は、
コロナウイルスの感染症である
重症急性呼吸器症候群(SARS)にはなく、
新型コロナウイルス特有のものであるとのこと。

研究の詳細は4月7日、
「Cellular and Molecular Immunology」誌に掲載されました。

SARS-CoV-2 infects T lymphocytes through its spike protein-mediated membrane fusion

https://www.nature.com/articles/s41423-020-0424-9

■ウイルス撃退にはT細胞の免疫機能が大切

通常、
体内にウイルスが侵入すると、
身体の免疫機能が働き
ウイルスを殺そうとします。

それら免疫機能の中に、
T細胞(Tリンパ球)と呼ばれるものがあります。

この細胞は
免疫機能において
重要な役割を担っており、

体内の異質な細胞を見つけて
破壊します。

T細胞は、
ウイルスに感染した細胞を補足し、
穴をあけ、
その膜に化学物質を注入して
ウイルスと細胞の両方を破壊します。

このT細胞の働きのおかげで、
私たちは体内から
ウイルスを除去することができます。

しかし、新しい研究では、
新型コロナウイルスが
このT細胞の「免疫機能」を
無効にする可能性が浮上したのです。

■新型コロナウイルスはT細胞を無効化する。原因は「スパイク」

研究者たちが、
新型コロナウイルスを
実験室で増殖させたT細胞に付着させたところ、

T細胞は
ウイルスに感染し
無効化されました。

influenza-kozo.png

同様の実験は、
重度の急性呼吸器症候群や、
別のコロナウイルスであるSARSでも行われました。

しかし、
それらのウイルスたちは
T細胞の働きを無効にすることはありませんでした。

つまり、
この「免疫破壊」は
新型コロナウイルス特有のものです。

では、
新型コロナウイルスにみられる
「特殊な免疫破壊機能」は
どこから来ているのでしょうか?

研究者たちは、
その秘密が
新型コロナウイルスの
ユニークな「スパイク」にあることも発見しました。

「スパイク」とは、
ウイルスが持つ
吸盤のような「突起」です。

そして、
新型コロナウイルスのスパイクは
T細胞に接触したとき、
ウイルスの表層膜(エンベロープ)と
T細胞の細胞膜を融合させます。

互いの表層膜が融合することにより、
新型コロナウイルスの遺伝子は
T細胞内に入り込み、
その働きを無効にするのです。

Virion.png

以前に流行したコロナウイルス「サーズ」には、
この「膜融合」の能力がほとんどありがせんでした。

しかし、新型コロナウイルスは
その能力を発現させています。

この研究結果の
証明となる事例も確認されています。

「South China Morning Post」誌の報道によると、

新型コロナウイルスで死亡した
20人以上の患者検査記録は、

彼らの免疫システムが
ほぼ完全に破壊されていたことを示していました。

また、
PLA免疫学研究所のChen Yongwen氏らは2月に、

高齢者や
集中治療室での治療が必要な患者では、
T細胞数が著しく低下する可能性がある

と報告しました。

これは、
T細胞数が少ないほど
死亡リスクが跳ね上がることを示唆しています。

このような
「T細胞無効による免疫破壊」は
HIVにも見られるものです。

ですから、
医師の中には
HIVと新型コロナウイルスを比較する人もいます。

ただし、それらには大きな違いがあります。

HIVがT細胞に侵入して、
それらを複製工場に変えて
多くのコピーを作り出すのに対し、
新型コロナウイルスは、
複製することなく
T細胞と一緒に死ぬのです。

これは、新型コロナウイルスが、
HIVに比べて
体内で繁殖し続けないことを示しています。

研究が進むにつれて、
新型コロナウイルスのユニークな特徴が
明らかになってきています。

この特徴を理解することが
正しい対処に繋がっていくことでしょう。

https://nazology.net/archives/56567

コメント