【シャボン玉石けん】「自然素材の石けんは、合成洗剤の1000倍のウイルス破壊力。」

(2020年05月01日)

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新型コロナウイルス感染症から命を守る予防策として「石けん」による手洗いが推奨されているが、「石けんのウイルス破壊」には未解明の謎があった。
そこで、長年にわたりウイルス不活性化の解明に取り組んできたのが、広島大学大学院、北九州市立大学、シャボン玉石けん(北九州市)の研究者チームだ。
そして2019年、大きな研究成果が発表された。

石けんの「洗浄力」は主成分の界面活性剤によるが、インフルエンザウイルスによる実験で、ハンドソープ製品の大半の主成分である合成系界面活性剤と比べ、
自然素材無添加石けんの界面活性剤のインフルエンザウイルス破壊能力が、100~1000倍も大きいことが明らかになった。
そして、その攻撃力の差がウイルスに対する石けんの作用の常識を覆す事実がわかったというのだ。
前回に続き研究チームに取材した第2弾をお届けする。

■界面活性剤が「効く」わかりやすい理由

石けんによる手洗い啓蒙の情報が増大している。
※略
石けんも洗剤も主成分は界面活性剤だ。これは水では落ちない脂汚れを除去する働きを持つ。

一方、インフルエンザウイルスもコロナウイルスも粒子の表面(エンベロープ=外殻)は、脂質二重膜で覆われている。
つまり、これらのウイルスは1ミリの1万分の1という極微小の「脂くるみの玉」なのだ。
洗剤の界面活性剤は布に染み込んだ脂汚れを引き剥がすが、ウイルスの外殻も脂なので同じようにその脂を引き剥がす。
これが、ウイルスがお陀仏となる理屈だ。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、世界各国(アメリカが主だが)で、この人類の敵を知るための、精緻でわかりやすい動画が多く作られ公開されている。
この事態を乗り越えていくために最も大事なことは、不安に煽られることなく正しい科学知識を身につけることだからだ。石けんの動画も膨大に増えているゆえんだ。

このことを実感したのが、英語の動画「Fighting Coronavirus with Soap」(日本語字幕:石鹸でコロナウイルスと戦う)だった。
米国の蛋白質構造データバンク(日本支所は大阪大学蛋白質研究所にある)が製作したもので数ヵ国語の字幕版が公開されている。
わずか2分の動画だが、無数のイモムシのような多数の界面活性剤の分子がウイルスの外殻の脂質二重膜に引き寄せられ、
ピラニアの群れが獲物に食いつくようにウイルスの脂質周囲に集まってミセル(高分子の集合体)を作り、脂質を引き剥がすさまを描いている。

■「棘」を引き抜く

この動画が描いている「石けん」の働きは、これまで「石けん=界面活性剤の常識」である脂肪を剥がす作用を、ウイルスの外殻(脂質層)に当てはめたものと思われる。
ところが、昔ながらの自然素材無添加石けんに含まれる界面活性剤は、インフルエンザウイルスの実験では、
「石けん=界面活性剤の抗ウイルス作用の常識」を覆す働きをしていたのである。

広島大学大学院医系科学研究科(ウイルス学)教授、坂口剛正さん、北九州市立大学国際環境工学部教授の秋葉勇さん、
そしてシャボン玉石けん研究開発部長の川原貴佳さんを中心とするチームは、自然素材無添加石けんの界面活性剤の抗ウイルス作用が、
広く販売されている合成系ハンドソープの界面活性剤と比べ100~1000倍も大きいことを明らかにした。
そこで、そのメカニズムの解明に取り組んだのである。
広島大学の坂口剛正さんはこう語っている。

坂口
ウイルスの外殻、エンベロープは脂質二重膜なので、当然、石けんで溶けます。
電子顕微鏡で見たところ、濃度が高い合成系界面活性剤ではウイルスはもとの形がわからないほどバラバラになっていました。これは、従来の知見通りです。
一方、自然素材無添加石けんの界面活性剤は、濃度が低くてもウイルスに穴をあけていました。
それは、界面活性剤がウイルスの棘の部分、スパイクタンパクにとりつき、スパイクを引き抜いていることがうかがえました。驚くべき機能です。

断っておきたいが、濃度による効果に差はあるものの、合成系ハンドソープもインフルエンザウイルスを壊すことに変わりはない。
だが、合成系と比べて自然系のほうが、壊し方がダントツに大きいのだ。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200501-00072151-gendaibiz-sctch

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