【シンガポール】WHOによる称賛から一転、10万人当たりの感染者数でアジア一位。
(2020年04月28日)“SARSの教訓を活かし
対応が早かった”
“医療制度が優れている”
……。
亜熱帯地域の
東南アジアの優等生「シンガポール」を、
コロナ禍の対応で
評価する声がある。
しかし
ここに来て、
10万人当たりの感染者数は
中国や韓国をはるかに抜き
アジアのトップとなった上、
日本の感染者総数も
追い越してしまった。
しかも、その数は
他国のように
“柔らかなカーブ”
を描くことなく
右肩上がりで上昇続け、
初動の遅れから
“第2波”とも呼ばれる
感染拡大も発生。
東南アジア情勢に詳しい
ジャーナリストの末永恵氏が、
その実態をレポートする。
人口570万人の
シンガポールの感染者数は、
4月22日に
1万人を突破した。
特に
4月に入ってからの増加の速さは
特筆すべきものがある。
4月1日の段階では、
1000人ほどだったからだ。
初の感染者確認は1月23日で、
3月下旬では数十人だったのが
4月に入って
3桁レベルでほぼ連日、
感染者数を更新。
こと前半2週間は急激で、
その増加率は180%にもなる。
また
20日の新規感染者は1426人と、
ここにきて最大の増加数となった。
弁護士で
SNS投稿が話題を集める
野党「ピープルズ・ヴォイス」の
リム・ティーン党首は、
自身のYouTubeチャンネルで
こう語った。
「当初、政府は、
感染者数増加を
欧州などの帰国組の影響と説明していたが、
真相は違う。
例えば、4月8日の
新規感染者の142人のうちの
72人の感染経路が不明。
さらに、
感染者の98%が国内感染。
第2次、第3次感染が
大きなクラスターとなって、
コミュニティーを蝕んでいる」
前回の記事
「【新型コロナ】シンガポールは
日本に次ぐ感染者数
アジアの優等生が被害を拡大させた3つの誤り」(2月27日配信)
でも触れたが、
2月末時点で、
感染者数の約100人のうち、
中国・武漢出身の感染者は
18人に過ぎなかった。
リー・シェンロン首相が否定していた
「人から人への2、3次感染」は
とっくに起きていたことになる。
米ジョンズ・ホプキンス大学の調査でも、
シンガポールの人口10万人当たりの感染者数は、
数週間前まで「30人」だったのが、
「180人」と大幅に急増。
日本は「10人」だ。
中国の「5人」や
韓国の「20人」を抜き
アジア最大の国となっている(いずれも4月25日現在)。
4月26日には、
感染者数そのものも、
シンガポールは日本を超えた。
もっとも、
コロナ被害の大きい国は他にもあるから、
シンガポールを取り上げることに意義はあるのか、
と思われるかもしれない。
だが、
当初、シンガポールの対応は
評価されていただけに、
その“落差”は検証する意味がある。
その評価の最たるものが、
“時の人”であるWHO(世界保健機関)の
テドロス事務局長による称賛だった。
今となってはむなしく響くばかりだが、
3月9日時点で
「コロナのパンデミック(世界的大流行)は
現実味を帯びてきた」
「だが制御は可能」
とテドロス氏は述べており、
この時、
感染抑制に成功している例として挙げた国が、
中国とシンガポールだった。
経済への影響を配慮し、
ロックダウンなどの
国内での外出制限措置を取らなくても、
感染者を抑制できる例として
「シンガポール方式」を
褒めたたえていたわけである。
米トランプ大統領の攻撃を例に出すまでもなく、
テドロス氏の中国寄りの姿勢は知られた通り。
中国と“密”につながるシンガポールもまた
同じ扱いなのだろう
(シンガポールの中国寄りの姿勢が
感染拡大を招いた背景もあるのだが……。
そちらも前回記事で触れたとおりだ)。
WHOのトップからも褒められた
“東南アジアの優等生”の現状は、
隣国のマレーシアと比較すると
より分かりやすいかもしれない。
人口約3400万人のマレーシアは、
3月中旬以降、
長く東南アジア最大の感染者数となっていたが、
今では域内第4位に下降した
(代わって
域内最大感染国となったのは
シンガポールで、
インドネシア、フィリピンがつづく)。
これには、
マレーシア政府関係者も
「回復者数が
総感染者数を上回る時期もあり、
峠は越えた」
と安堵する。
人口は
シンガポールのおよそ6倍ながら、
マレーシアは
終息の兆しが見えるわけだ。
当然、
新規感染者の数も、
シンガポールをはるかに下回る
(マレーシアは36人で、
シンガポール1426人。
4月22日の比較)。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200428-00624900-shincho-int&p=1
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