【横浜市立大学】検査を簡略化できる「モノクローナル抗体」の開発に成功。

(2020年04月22日)

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現在行われている
新型コロナウイルスの検査方法は
「ウイルス遺伝子検出法(PCRなど)」ですが、
結果が分かるまでに
平均4?6時間かかるデメリットがあります。

また、特殊な機器を必要とするため、検査数も限られていました。

感染拡大防止や早期発見には、
簡単かつ短時間でできる検査キットが不可欠です。

しかし、
それにはまず
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原だけに反応する
「モノクローナル抗体」が必要です。

そこで今回、
横浜市立大学大学院・医学研究科のグループが、
まさにそのモノクローナル抗体の作製に
成功したことを発表しました。

「モノクローナル抗体」とは?

モノクローナル抗体とは、一言で言うと、体内の異物が持つ特定の「目印」だけをターゲットにできる抗体のことです。

例えば、ウイルス感染細胞やガン細胞などは、他の正常な細胞にはない目印を持っています。その目印に結合することで、特定の抗原だけを狙い撃ちできるのです。例えれば「新型コロナウイルスにのみくっつく磁石」のようなものでしょう。

抗体は免疫細胞である「B細胞」からつくられるpic_antibody_antibody-p11_fig02.gif

近縁の抗原(風邪の原因となるヒトコロナウイルスなど)には見向きもしないので、新型コロナウイルスのみを正確に検出できます。

しかし現在使われている抗体は他の抗原にも反応することがあるため、適切な検査は困難でした。モノクローナル抗体は、そんな状況を打破してくれる抗体として期待を集めているのです。

「モノクローナル抗体」のつくり方は?

モノクローナル抗体は免疫細胞である「B細胞」からつくられます。しかし、B細胞には寿命があるので、モノクローナル抗体を大量につくり出すことができません。

検査キットをつくるには、当然ながら多くの抗体が必要となります。

そこで、B細胞に、無限に増えつづける能力を持った「ミエローマ細胞」を融合させることで、抗体の大量生産を可能にしました。

このB細胞とミエローマ細胞を掛け合わせたものを「ハイブリドーマ(融合細胞)」と呼びます。
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このハイブリドーマから、モノクローナル抗体が産出可能なものだけを選び出します。

それを培養することで、大量のモノクローナル抗体が手に入るというわけです。

新型コロナだけに反応する「モノクローナル抗体」の作製に成功!

今回の研究も、上記と同じ方法で行われています。

研究グループは、まず、新型コロナウイルスを構成する「ヌクレオカプシドタンパク質(NP)」を大量に準備しました。

これをマウスに投与することで、NPに対するモノクローナル抗体をつくり出すハイブリドーマを、全部で144株つくることに成功しました。

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さらにこの中から、新型コロナウイルス抗原のみに反応する抗体をつくり出すハイブリドーマをふるい分け、その結果、20株がその条件をクリアしました。

テストでは、これら20株の抗体は、近縁のコロナウイルスにはまったく反応しないことが確認されています。

しかも、この内の6株は、免疫染色にも使用できる高品質の抗体であることが判明したのです。

モノクローナル抗体の特異性解析(上)と免疫染色(下)530045cf1faf572849a9da71624e20cd.png

上図の♯Aと♯Bが今回開発されたモノクローナル抗体です。新型コロナウイルス以外には、まったく反応していないことが分かります。

また下の免疫染色像を見ると、感染細胞(新型コロナウイルスに感染させた細胞)が蛍光色に染色されて、ウイルス抗原の検出に成功していることも見て取れます。

研究グループは、これから、モノクローナル抗体を用いた簡易検査キット(イノクロマトキット)の開発を進める予定です。

イノクロマトキットは、妊娠検査キットと同じ仕組みで、簡単かつ結果が分かりやすく、短時間で検査できるメリットがあります。

本研究は、感染拡大の阻止と迅速な治療を可能にするための重要な鍵となるでしょう。

https://nazology.net/archives/57474

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