【ZDNet】COBOLで構築された米失業保険システムで混乱。

(2020年04月26日)

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職を失ったにもかかわらず、
失業手当の交付申請ができないというのは、
最も身に降りかかってほしくない状況のはずだ。

あるいは、
資金不足の状態なのに、
景気刺激策の小切手を
手にできない状況も同じだろう。

しかし残念なことに、
それが今日の米国社会で起こっている。

その原因をたどっていくと、
60年以上前に生み出された
COBOLというプログラミング言語にたどり着く。

というのも、
米国の多くの州で稼働している
失業保険給付システムや、
米国税庁(IRS)のシステムは
COBOLで記述されているためだ。

しかし、
その考えは公正なものではない。

COBOLの開発環境などを手がける
Micro Focusで
メインフレームソリューションなどを手がける
製品ディレクターのDerek Britton氏は
「COBOLが問題なのではない」と述べる。

本当の問題は、

米国の州政府、
とりわけニュージャージー州やニューヨーク州、
コネティカット州、そしてIRSが

自らのコードベースを
しっかりと維持管理してこなかったためだ。

とはいえ、
そのこと自体も
彼らにすべての責任があるわけではない。

問題の根源は
COBOLではなく、
COBOLプログラマーの不足ですらない。

問題は、
壊れていないインフラに
お金をかけようとする人など
いないところにある。

その点で、
コードと道路は同じようなものだ。

そしてプログラムは
壊れてしまっている。

例えば、
州の失業保険給付システムは、

現在発生しているほど
大量の申請をさばけるようには作られていない。

ニューヨーク州では3月中旬以降、
本稿執筆時点で
失業保険の申請が79万1840件発生しており、

3月29日~4月4日の
1週間の申請数は
34万5246件に上っているとされる。

この数字は
前年の同期間と比べると
2639.4%の増加だ。

当初、
システムを開発した人たちは、
これほど大量の申請が発生するとは
夢にも思っていなかった。

COBOLは
退役させてもおかしくない
との見方もあるほど古くから使われているが、
言語自体はまだまだ現役だ。

Micro Focusが最近実施した調査によると、
銀行を含む企業の63%は
COBOLシステムを
メンテナンスしながら使用し続けているという。

とは言うものの、
これは企業の話だ。

政府機関とは異なり、
彼らはCOBOLのコードを
メンテナンスし続けなければならない
という点をしっかり認識している。

一方、IRSは
過去10年で20%の予算削減を
余儀なくされており、

IT予算も切り詰められている。

州政府のIT部門も同様の状況だ。

https://japan.zdnet.com/article/35152769/

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