【神戸市立医療センター】「外来患者1000人を抗体調査した結果、3%が陽性。」(推定5万人)

(2020年05月03日)

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神戸市の病院を

新型コロナウイルス以外の理由で受診した
患者1000人を対象にした調査で、

およそ3%から
新型コロナウイルスに感染していたことを示す
抗体が検出されたことが分かりました。

専門家は、

「感染者の多さを示しているが、

大部分の人は
感染していないとも言え、

外出自粛などの対策は
引き続き必要だ」

と指摘しています。

神戸市中央区にある
市立医療センター中央市民病院の
医師などのグループは、

ことし3月末から
先月7日にかけて、

新型コロナウイルス以外の理由で
外来を受診した患者から
無作為に1000人を選び、

血液中に
新型コロナウイルスに感染したあとにできる
「抗体」があるか調べました。

グループによりますと
その結果、

3.3%にあたる33人から
抗体が検出されたということです。

グループでは、

調査の対象が
外来患者に限られることや

検査の正確性に
一定の課題があるとしたうえで、

これを神戸市の人口に換算すると
およそ5万人が感染したことになる
としています。

2日夜、
記者会見した
市立医療センター中央市民病院の
木原康樹院長は、

「われわれの想像以上に、
多くの市民が
すでにウイルスと接触し、
抗体を獲得している可能性がある」

と話していました。

この結果について
感染症の予防対策に詳しい
関西福祉大学の
勝田吉彰教授は

「実際の感染者の多さを示す
貴重なデータだが、

大部分の人は
感染していないとも言え、

外出自粛などの対策は
引き続き必要だ」

と指摘しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200503/k10012416071000.html

新型コロナウイルス感染症について、

神戸市立医療センター
中央市民病院(同市中央区)の研究チームが2日、

外来患者千人の血液検査で、
3・3%が抗体を持っていた

と明らかにした。

4月上旬までに、
市民約4万1千人に
感染歴があった計算になる。

この結果を受け、
同院の木原康樹院長が3日、
神戸新聞社のインタビューに応じた。

主なやり取りは次の通り。

-なぜ新型コロナの抗体検査を実施したか。

「どのぐらいの人が新型コロナと接触し、
免疫を獲得しているかは、
現時点で日本では
ほとんどデータがない。

それは、
緊急事態宣言をどの地域で、
どう解除するかと密接に関係しており、
基礎的なデータになると考えた。

結果の精度や、
免疫を獲得したことと同じかどうかは
議論が必要」

-企画した経緯は。

「緊急事態宣言の前で、
(中央市民病院で)
院内感染が発生する前に企画していた。

国内の感染に関して
比較的初期のデータを狙った。

国内の伝播(でんぱ)の痕跡を把握するために、
抗体をチェックする手段があるので、
調べようということになった。

既にある患者の血清を使うことができたら、
完璧とは言えないが、
地域住民の病気の分布を推測することに役立つ」

-外来患者の検体は、
一般市民と比較して
バイアス(偏り)がないか。

結果をどう受け止めるか。

「一般の元気な人と、
何らかの病気がある通院者が
同等ではないと考えなければいけない。

市民から任意で抽出したサンプルとは、
いろんな意味で偏りがあると認識した上で、

(データで示された)4万人と
(2日時点で神戸市が公表した患者)260人には
非常に大きな隔たりがある。

本当に、大きな驚きだ」

「外国の値とも
そう矛盾しないデータかもしれない、
と考える。

患者数は
米国、中国などに比べて
随分少なく抑えられているが、

その値(今回の結果)が真実であれば、
ウイルスとの接触は
それほど大きな差がないことになる。

重症の患者が
かなり低く抑えられているというのは、

私たちの国は
うまくいっていると言えるのかもしれない」

「神戸市で4万人が感染していれば
死亡率は随分低くなる。

評価は変わってくる。

国策として
これからどの時期にどう解除するか、
根拠は何かということに関して、
一石を投じるデータではないかと思う」

-市中感染が広まっている認識は。

「さまざまな場面で、
実はわれわれの体は
ウイルスに接触していると考えるべきだ。

PCR検査で陽性だった人以外が、
全く病原体に接触したことがない
という考え方は違う」

「どちらかというと、
これは非常にラッキーなデータ。

感染拡大初期に行ったデータで
既に3%に達していた。

そこから1カ月がたって
どう変化したのか
大変興味がある。

もしかしたら
もう少し高いデータが出ている可能性があることは、
大いに考えられる」

「今置かれた環境の客観的データが増えるほど、
私たちはより科学的な武装ができる。

ニューヨークや東京のデータとは違い、
足元のデータは極めて大事というのが
医療者としての認識」

-PCR検査に比べ、抗体検査をどう見るか。

「比較の問題ではなく、
見ているものが違う。

PCR検査は
ウイルスがいるかいないか。

ほかに方法がないから便宜的に使っている。

限界があるし、
それを持って判断していると、
実は間違ったことをやっている可能性は
大いにあると医療現場で思う」

「抗体検査は
体がどう反応しているか。

抗体を持つかどうかで、
患者であるかどうか今、
判断するレベルではない。

ある集団に関して、
このうちの何割が
抗体を持っていた
という言い方はできる」

-今後に向けて。

「マスクを外したり、
『3密』を解いたりすることが可能かどうかは、

医療者として、
しばらく継続が必要だろうと思う。

それは、
3・3%という
抗体検査のデータが正しいとして、
集団免疫ができる70%にはほど遠いから。

どこで制限を解除するかは
政治家の判断」

「(PCR検査の)陽性者だけがかかっていると見る世界とは、
違う裾野の世界が、
現在進行形で広がっているという認識は大事。

ワクチンなどの抗体を
提供できる時期が来れば大変よろしいし、
きっと来る。

それまでは
動向を見極めることが必要だ。

具体的な
ちゃんとした情報発信をしていくことが、
私たちの仕事だ」

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202005/0013317630.shtml

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