【ハーバービジネスオンライン】反PCR検査拡充派の間で広まる医師ブログの不自然なデータ引用。「日本に超過死亡はない」の嘘。
(2020年05月16日)東京23区のインフルエンザ・肺炎死亡の調査で確認された「超過死亡」
(中略)
新型コロナに特徴的な
重度の肺炎症状で亡くなった人の中には、
きっと“新型コロナ感染症”ではなく
“肺炎”と診断された例もあっただろう。
実際、
国立感染症研究所が公表している
「インフルエンザ・肺炎死亡報告」によれば、
新型コロナ大流行期に入った東京特別区(23区)で、
明らかな「超過死亡」*があったことが確認されている(図1)。
これは、新型コロナによる死亡例の一部が
誤って肺炎と診断されている可能性を示唆している。
〈*“ インフルエンザが流行したことによって、
インフルエンザ・肺炎死亡が
どの程度増加したかを示す、推定値である。
この値は、
直接および間接に、
インフルエンザの流行によって生じた死亡であり、
仮に
インフルエンザワクチンの有効率が100%であるなら、
ワクチン接種によって回避できたであろう
死亡数を意味する”|国立感染症研究所)
図1.東京特別区(23区)の
インフルエンザ・肺炎死亡数。
2020年では第8~13週に
明らかな「超過死亡」が現れている。
第14週で死亡数が急落しているが、
これは調査結果が
まだ不完全なためと思われる。
出典:国立感染症研究所
反PCR検査拡充派で流布するブログ記事の不可解な引用
この超過死亡について、
最近、
疑問を挟まざるを得ない情報が流されている。
例えば、
反PCR検査拡充派の人々の間で流れている、
以下のブログ記事が広めた
「超過死亡も増えていない」というものだ。
●「本当にPCR検査は必要か?」
医療法人社団悠翔会 佐々木 淳
(同ページのアーカイブ)
このブログ記事の該当箇所には、
東京特別区の死亡者数ではなく、
「21大都市合計」の死亡者数(図2)が示されているが、
その選択が
非常に作為的なのだ。
何故なら、
「21大都市合計」の調査結果は
まだ非常に不完全で、
最近の死亡者数を
著しく過小評価しているからだ。
図2.21大都市合計のインフルエンザ・肺炎死亡数。
まだ調査結果が出揃っていないため(図3を参照)、
特に2020年の第10週以後が
著しい過小評価になっている。
出典:国立感染症研究所
「21大都市」に含められている都市のうち、
例えば、横浜市や大阪市のグラフを見てみると、
2020年の第10~14週の調査結果が
まだ無いことが分かる(図3)。
さらに、今現在、
「第2波」に襲われ、
「第1波」時より
ずっと大きい感染爆発が起こっている
札幌市に至っては、
調査結果が
まったく示されていないのだ(図4)。
このような不完全な調査結果を合計した
「21大都市合計」のグラフが
最近の死亡者数を
大きく過小評価していることは、
言うまでもないことだ。
上述したブログ記事、
「本当にPCR検査は必要か?」は、
不思議なことに
この深刻な過小評価の問題に
一切触れていない。
BuzzFeed Japanでも上掲ブログを紹介
さらに、最近、
PCR検査の拡充に反対している元読売新聞記者で、
現在BuzzFeed Japanのエディターとして
同サイトの医療系の記事を数多く担当している岩永直子氏は、
自身の記事で
注記なしに
この極めて不正確なデータ引用をしていると言わざるを得ないブログを
参照元として紹介している。
筆者はこの件について、
Twitter上で
岩永直子エディターに直接、
複数回意見したが、
岩永氏からは、
それらの意見に対しての回答はない。
2019年8月に岩永氏は
「命を語るときこそ、
ファクト重視で冷静な議論を」
というタイトルの対談記事に出演しているが、
現在の同氏は
この時の“志”を
すっかり忘れてしまったように見える。
残念なことではあるが、
エディターやライターが
このようなアンフェアな行為を繰り返して
信用を失うのは、
まさしく自業自得・自己責任であろう。
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