(声)臓器移植法の改正を祈って

(2005年09月26日)

007582005年09月26日朝刊オピニオン201000472文字大学院生 三宅健(川崎市中原区 26歳)
2002年、米国で脳死肝移植を受けてから、早3年がたとうとしている。
力尽きる寸前で移植手術を受けた私にとって、術後の体調の好転は言葉にできぬほどの喜びだった。歩く、走るといったごく当たり前のことが、とてもうれしかった。移植医療の素晴らしさを身に染みて感じている。
その半面、手術前の私と同じような状況に置かれている人々が、今日も明日もこの世を去っていくという悲しい現実がある。どこかの医療後進国で起きているのではない。日本の現状なのだ。
なぜ、この国で、救えるはずの人たちを救えないのか、無念だ。隣国の韓国や中国では脳死移植が当たり前にできるのに、なぜ。
最高レベルの技術がありながら、法律が追い付いていないため、医師は脳死移植を必要とする患者を海外の移植施設に送り出さなければならない。渡航に間に合わず、亡くなる患者も多いと聞く。
これは断じて変えなければならない現実だ。その打開には、臓器移植法を前向きに改正するほかない。先の国会で与党が提出したものの、廃案になった改正案の再提出を切実に願う。