(声)脳死移植に、なお消えぬ抵抗感

(2009年04月23日)

005002009年04月23日朝刊オピニオン201600398 主婦 安藤一恵(愛知県江南市 44)
臓器移植法の改正に向けた論議が今国会で始まった。臓器提供を増やす方向も模索されるようだが、脳死移植についてはやはり抵抗感がある。斉藤環境相がコメントしているように、「脳死を人の死とすることについて、まだ社会が受容する段階にない」(15日朝刊)からだ。
脳死患者と聞くと、「すでに死んでいる人」と思いがちだが、私は「まだ生きている人」と答えたい。脳死患者の心臓は人工呼吸器の力を借りてリズミカルに動き、体は温かく、血圧も上昇する。脳死状態でも精いっぱい生きようとしているのを目にする家族は、奇跡が起きて欲しいと願っても、臓器を提供したいと思うだろうか。
今回の改正は子どもの移植に道をひらく狙いもあるようだ。親が虐待による脳死を隠匿するために臓器提供を申し出る懸念もある。移植を待ち望む命があるのは分かっているが、生死にかかわる問題だ。慎重に審議してほしい。

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