(声)臓器移植法の改正より先に

(2005年06月01日)

007902005年06月01日朝刊オピニオン201400504文字 主婦 中島美恵子(大阪市鶴見区 32歳)
私の視点「臓器移植法改正 真っ向から脳死論議を」(5月18日)を読み、2年前の夏、原因不明の脳症で入院し、亡くなった1歳の長男のことを思いました。「肝臓が駄目になりました」と言われた時は、移植でも何でも受けて助けたいと願いました。最終宣告を受けた時は「臓器提供して、他の人の役に立ってくれたら」とも思いました。
現行法が認めていない15歳未満の臓器提供に私は反対ではありません。ただ法改正前にすべきことがたくさんあります。一つは小児救急の充実。私は夜間診療所で5時間近く待ったことがあります。良い救急医療を受けていれば助かったかもしれない子が脳死後、ドナーになるのは親として過酷です。
大切な人を看病し、なくした家族らを精神的に支える「グリーフケア」も日本では普及していません。病院など周りの対応で遺族のその後は大きく変わります。私の場合は周りのおかげで再び生きようと思い、次男を出産できました。
欧米では小児救急もグリーフケアも進んでいると聞きます。だからこそ子どもの臓器移植が可能だと思うのです。日本ではそちらに目を向けずに移植の話だけが進んでいると思います。

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