(声)脳死宣告後も18年健在な母

(2007年02月23日)

006372007年02月23日朝刊オピニオン201400465主婦 関美栄子(埼玉県春日部市 44歳)
日本救急医学会特別委が延命治療中止のガイドライン案を示した(16日朝刊)。以前、私の母がある大学病院で人工呼吸器をつけていた時のことを思い出した。
母は髄膜炎で、医師から「脳死状態。助かる見込みはない」と宣告された。私たち家族は人工呼吸器を外すよう切り出され、私は目の前が真っ暗になった。やっとの思いで「あと数日待って下さい」と言うと、「好転することはないと思いますが、待てというなら待ちましょう」と言われた。
その翌日、母は持ち直し、自発呼吸が出てきた。数日後に意識も回復した。あれから18年2カ月たった今も通院はしているが、元気に家事をこなしている。
延命治療中止のガイドライン案のように、医療関係者の判断だけで人工呼吸器を外すことには反対だ。臓器移植のドナー不足が深刻であることは十分承知しているが、助かるべき命を見落としたり、ドナー欲しさに命が軽視されたりはしないだろうか。ガイドライン案は10月の総会まで決定が先送りされたが、同案にはさらに考えるべき問題が山積していると思う。

コメント