(声)子どもの臓器提供は慎重に

(2009年04月28日)

004912009年04月28日朝刊オピニオン201300441文字児童相談所非常勤職員 猪俣武久(東京都青梅市 66)
臓器移植法の改正が今国会で図られようとしている。改正案の一つに、14歳以下の子どもの臓器を家族の同意により提供できるというのがあるが、ここに親の虐待により脳死状態になった子の臓器を、親が同意すれば移植が可能かという問題が生じる。
このような事態を防ぐために脳死判定の厳格化を図り、病院の倫理委員会などで虐待の有無を確認することが考えられている。長年、児童相談所で虐待問題にかかわってきた私の経験で言うと、虐待の多くは密室である家庭内で起こり、幼児への虐待を疑っても親に強く否定されればそれを覆すことはかなり難しい。
警察も証拠がなければ立件することはほとんどなく、医師も虐待という判断を下さないことが多い。親が虐待を否定すれば、医師もたとえ疑いを抱いても移植を認めることがないとはいえない。私は、これを防ぐには、親と子どもしかいない家庭内の事故などで子どもが脳死状態になった場合、親が同意しても移植を認めないことを提案したい。

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