(政策ウォッチ)臓器移植法改正 患者のために奥の深い議論を

(2009年04月23日)

004992009年04月23日朝刊政策総合00700440文字脳死下の子どもは汗をかくのか――。21日にあった衆院厚生労働委員会の臓器移植小委員会。参考人の小児科医が「脳死の基本的知識」として挙げたのがこの問いだ。小児科医によると、正解は「○」。だが、自信を持って答えられる人はどれだけいるだろう。
小委員会を傍聴して感じたのは、問題を先送りしてきたツケの大きさだ。97年施行の臓器移植法は3年後に見直すはずだった。だが実施されず、約12年で脳死下の臓器提供は81例。国会審議も進まず、小委員会では「脳死の定義は」「小児と大人の脳死判定の違いは」といった基本的な質疑が交わされた。国会議員だけでなく、社会全体として、法改正の議論に必要な知識の共有化が遅れているのが現状だ。
移植を待つ患者の法改正を望む声は痛切だ。だが、法の対象を14歳以下に広げた時、虐待を受けた子をどう見抜くか、改正で臓器提供はどれだけ増えるかなど、課題は多い。各党幹部あげての議論は歓迎したい。ぜひ、人の生死の問題にふさわしい、奥の深い議論を重ねて欲しい。(野瀬輝彦)

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