フィリップ・ミュラー「a balancing act」
(1997年)ミュラーのインスタレーションは、フリードリッヒ広場を見渡すフリデリツィアヌム美術館の開いた窓の周りに設置された。地下駐車場の建設に伴い、デ・マリアの「mile long drawing」(1977年 ドクメンタ6)やボイスの「7000oaks」(1982年 ドクメンタ7)といった常設作品は、広場の中央から取り除かれていた。ミュラーは、これら先攻の2作品の資金繰りに関する記録を展示した。この記録とともに、彫刻の土台に6mのバランス棒も置いた。このバランス棒は、半分は真鍮製で、もう半分はカシノキでできており、デ・マリアの垂直に埋め込んだ真鍮の棒とボイスのカシノキを表している。ミュラーはフリデリツィアヌム美術館の壁に、ドクメンタXのオープニング前のセレモニーの様子を見せている。ビデオスクリーンもはめ込み、そこでミュラーは、バランス棒を持ってボイスの木とデ・マリアの彫刻の間を何度も往復した。彼の行動は、2つの作品の間の線をなぞっているのだが、実際にはこれら二つの作品は、お互いに関係しているわけではない。ミュラーが2つの作品をことさら結びつけているのは、広場の新たな対象形のデザインが、これら2作品の存在を完全に無視していることを強調したいがためである。
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