ルーシー・リパードによって「7500」展と題する巡回展が組織される

(1973年05月)

当時、女性のコンセプチュアル・アーティストはいたが、性差別的なアート雑誌がその存在を無視していたのではないか。女性のコンセプチュアル・アーティストなど存在しなかったとする人々に反撃すべく、ルーシー・リパードは1973年に「7500」と題する巡回展を組織した。ハンネ・ダーボヴェン、クリスティーン・コズロフ、エイドリアン・バイパーら27人の女性のコンセプチュアル・アーティストが参加している。巡回可能な展覧会のするため、各アーティストの作品は大きな封筒に収まるものに限定された。そうすれば、全体でも梱包ケース1個ですむというわけでる。作品の大半は女性のアイデンティティ(自己同一性)ないしは女性の経験と言う問題を取り組んだものだった。ロリー・アンダーソンは、自分に対しておせっかいな発言をしたすべての男性の写真を撮った。ミエレ・レーダー・ウケルスは、たいていは女性である美術館の清掃スタッフは、みなアーティストであると宣言した。この展覧会の批評の大半は男性が執筆し、歯牙にもかけない態度だったが、数少ない女性の評者たちはそれを肯定的に受け止めた。この展覧会はまた、自己同一性、アート界における差別、また「女性」や「アーティスト」に対するさまざまなステロタイプをめぐる議論に火をつけた。これらの議論の方が、作品よりずっと重要だったと言えよう。

コメント