【アングリア・ラスキン大学】スミス博士「ビタミンD濃度が低い国では死亡率が高い。」

(2020年05月10日)

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免疫力を高める栄養素の1つに
ビタミンDがあるが、

ビタミンDの濃度と
新型コロナによる死亡率の関係性について、

欧米で、
新たな研究結果が
次々と報告されている。

Aging Clinical and Experimental Research
(生物老年学や神経科学、疫学の研究機関)が発行する
ジャーナルに発表された研究報告によると、

ビタミンDの平均濃度と
新型コロナの感染率や死亡率の間に
相関関係があることがわかったのだ。

ビタミンD濃度が低い国では死亡率が高い

イギリスのアングリア・ラスキン大学と
クィーン・エリザベス病院
キングス・リン国民保健サービストラストが行なったこの研究では、

ヨーロッパ20カ国を対象に、
ビタミンDの平均濃度と
新型コロナの感染率や
死亡率の関係性が分析された。

その結果、
新型コロナの死亡率が高いイタリアとスペインでは、
人々のビタミンDの平均濃度が北欧諸国よりも
低いことがわかった。

反対に、
感染者数が少なく、
人口あたりの死亡率も低い北欧諸国では、
人々のビタミンDの平均濃度が高かった。

なぜ、北欧諸国と
イタリアやスペインでは
ビタミンDの平均濃度に差があるのか?

研究報告は、その理由として、
南欧諸国の場合、
特に高齢者が強い太陽光を避ける傾向があること、
皮膚色素沈着が
ビタミンDの自然生成を減少させていることを指摘している。

反対に、北欧諸国では、
人々がタラの肝油を食べたり、
ビタミンDサプリメントを摂取したり、
太陽光を浴びたりしていることが
ビタミンDの平均濃度を高めているという。

研究を行なった
アングリア・ラスキン大学
公衆衛生学部のリー・スミス博士は、

「ヨーロッパ諸国では、
ビタミンDの平均濃度と感染者数、

特に、死亡率に
重要な関係があることがわかった。

ビタミンDは
人を急性呼吸器感染症から守ることが証明されているが、

今、高齢者、
特にビタミンDが最も不足している人々は
新型コロナの重大な影響を受けている。

過去の研究では、
入院している人々や
介護施設入居者の75%は
ビタミンDが
大きく欠乏していることもわかっている。

様々な新型コロナ患者の
ビタミンDの濃度を研究するといいと思う」

と提案している。

ビタミンD欠乏で死亡率2倍か

スミス博士らの研究結果を裏付ける別の研究結果も、
アメリカのノースウエスタン大学から出された。

同大学は、

中国、フランス、ドイツ、イタリア、イラン、韓国、
スペイン、スイス、イギリス、アメリカの

医療の質や人口、年齢、検査規模と
様々な新型コロナの死亡率を研究したが、

両者の間には
有意な相関性は見られなかった。

しかし、
ビタミンDの濃度と
新型コロナの死亡率の間には
有意な相関性が見られたという。

イタリア、スペイン、イギリスなど
新型コロナの死亡率が高い国々の患者は、
死亡率が高くない国々の患者よりも
ビタミンDの濃度が低かったのだ。

また、この研究を行なった
ヴァディム・バックマン教授によると、

ビタミンDは
死亡率を半分に抑える可能性があることがわかったという。

つまり、
ビタミンDが重度に欠如している新型コロナ患者は、
そうではない患者よりも、
2倍、深刻な合併症に陥って
死亡する可能性が高いということになる。

ビタミンDがサイトカインストームを抑制

ビタミンDの平均濃度が低いと
急性呼吸器感染症に感染しやすい
という報告もすでに出されているが、

なぜ、ビタミンDが重度に欠乏すると
新型コロナによる死亡率が高まるのか?

新型コロナについては、
炎症性サイトカインが
過剰に放出されることで
急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) に陥って
死亡する患者がいると報告されている。

これらの研究報告によると、
ビタミンDは、
白血球のレスポンスを調節し、
白血球が過剰に
炎症性サイトカインを放出するのを防ぐ働きがあるという。

つまり、ビタミンDには
過剰な免疫反応を抑制して、
炎症性サイトカインストームが起きるのを
抑える効果があるというのだ。

全文は以下。

https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200510-00177808/

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