天皇陛下のご即位から、1年が経過。

(2020年05月01日)

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皇室が代替わりし、
天皇陛下が即位してから
5月1日で
1年になる。

国民に寄り添う上皇ご夫妻の姿勢を踏襲。

皇后雅子さまとともに、
行く先々で大きな歓声に迎えられた。

だが、
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、
国民と直接接することを大切に考えてきたお二人の
公的な活動に影響が及んでいる。

「常に国民を思い、
国民に寄り添いながら、
憲法にのっとり、
日本国
及び日本国民統合の象徴としての
責務を果たす」。

昨年5月、
陛下は令和の皇室の始まりに行われた
「即位後朝見の儀」で、
そう抱負を述べた。

平成への代替わり時、
上皇さまが述べたのと
ほぼ同様の内容となった。

戦後生まれの天皇として
初めて臨んだ8月の全国戦没者追悼式のおことばでも、
上皇さまが同式典で繰り返し使った
「深い反省」という表現を盛り込んだ。

いずれも、
上皇ご夫妻の歩みを受け継ごうという
思いの表れと受け止められた。

心配されたのが、
皇后さまの体調問題だ。

依然として療養が続くが、
陛下とともに
定例地方訪問「四大行幸啓」をすべてこなすなど
着実な回復がうかがえた。

順調なスタートを切ったお二人だが、
新型コロナウイルスの影響で、
外での公務や行事・式典が
軒並み中止・延期に。

お住まいのある赤坂御用地から
皇居に「出勤」することも
少なくなっている。

側近によると、
両陛下は
感染拡大を気にかけ、
早い収束を願っている。

4月には
感染症対策を専門とする医療従事者を招いて
話を聞いた。

その一人、
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の
尾身茂氏には、
陛下は

「私たち皆が
なお一層心を一つにして
力を合わせながら、
この感染症を抑え込み、

現在の難しい状況を
乗り越えていくことを
心から願っています」

と思いを明かした。

今後も
様々な分野の専門家から
進講を受ける予定という。

河西秀哉・名古屋大学大学院准教授(歴史学)は

「令和の皇室の在り方が
岐路に立たされている」

と指摘する。

2011年の東日本大震災時、
上皇さまは
国民へのメッセージを
ビデオで伝えた。

宮内庁は、
被害が拡大しつつある現状のコロナ禍と
震災は状況が異なるとして、

メッセージの発出に
慎重な姿勢を示す。

河西氏は

「天皇と皇后の在り方を見せて、
人々が感化されるという
『平成流』のサイクルが
物理的に出来なくなった。

人々の皇室への関心が
薄れてしまうことが危惧される中、
どうカバーするのかが
今後の課題」

と話す。

天皇制を研究する
原武史・放送大学教授(日本政治思想史)も

「定例の地方訪問に加えて、
大きな災害があれば現地へ飛び、
直接励ますという
平成の天皇、皇后の面影が焼き付いているが、
今は状況的に出来ない。

メッセージを含む代替手段を考えるかどうかが
平成との違いにつながる」

と語る。

https://digital.asahi.com/articles/ASN4Z4R80N4ZUTIL01D.html?iref=comtop_8_03

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