【明治政府】「海港虎列刺病伝染予防規則」を公布。(国内初の検疫規則)

(1879年07月14日)

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明治時代の
コレラによる日本人の死者総数は
37万人に上り、

日清・日露の戦争による死者(約13万1500人)の
3倍ちかくだ。

明治末年の日本の全人口が
2800万人程度だから、
いかにコレラ禍が凄まじかったか
おわかりいだけるだろう。

そのコレラを防ぐために
帰還兵23万人余の大検疫を行った人物こそ、
医師にして
臨時陸軍検疫部事務官長・
後藤新平(1857~1929)であった。

後藤に課せられた任務は

「速やかに検疫遂行せよ」。

しかしながら世界中の近代国家で、
これほど大規模な軍隊の帰還を経験したところは
過去になかった。

手本はない。

前代未聞の水際作戦に
後藤は挑むことになる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200214-00010000-socra-soci

140年前の1879年7月14日、
「海港虎列刺病伝染予防規則」が公布された。

虎列刺は
「コレラ」と読む。

わが国で最初の
統一された検疫規則だ

▼幕末の開国で外国との交易が盛んになる一方、
海外ではびこるコレラやペストなどの危険な感染症が
国内に広がる恐れが強まった。

実際、しばしば流行し、
多くの犠牲者を出した。

このため、疫病を水際で食い止める
検疫の強化が急務となった

▼明治政府は、
長崎など各地の開港地に
検疫所を設置。

寄港する船舶に対し、
乗客の検診や
停船措置などに本腰を入れた。

これにちなみ、
7月14日は
「検疫記念日」とされる

▼現代では、感染症の防止だけでなく、
有害な動植物が国内に入らないようにすることも
検疫の重要な役割だ。

全国の空港や港湾にある検疫所が
目を光らせている

▼この害虫は、どうやって入り込んだものか。
イネやトウモロコシに寄生する「ツマジロクサヨトウ」。

熱帯地域が原産のガの仲間だ。

幼虫が作物を食い荒らし、
アフリカなどで甚大な被害を与えた。

その厄介者が
福岡、佐賀を除く九州・沖縄6県で見つかったという。

農林水産省は早急な駆除を呼び掛けている

▼ちなみに、コレラの感染者が見つかって
沖に足止めされた船を「コレラ船」と言う。

夏の季語だ。

高浜虚子に

<コレラ船
いつまで沖に
繋(かか)り居る>

の句がある。

クサヨトウ
いつまで畑で
かじり居る。

一刻も早く追い払わねば。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/527662/
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その年、
コレラが流行していた清(現在の中国)からやって来た
ドイツ船ヘスペリア号が検疫を拒否し、
横浜に入港しました。

当時、列強のドイツには
治外法権が認められており、
日本は手出しできませんでした。

因果関係ははっきりしませんが、
その後、
日本ではコレラが大流行し、
死者10万人を数えました。

コレラの感染者が見つかり、
入港できないまま沖に繋がれた船は
「コレラ船」と呼ばれました。

終戦直後、
中国大陸などから引揚船が
次々と帰港した際、
船内でコレラ患者が見つかり、
祖国を前に
船内で死亡した復員兵も
少なくありませんでした。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200213-00162966/
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1871年(明治 4年)

アメリカ人医師D・B・シモンズ(1834-1889 年)が、
横浜元弁天(中区北仲通り)に
早矢仕有的らが建設した十全医院
(現:横浜市立大学附属市民総合医療センター)に勤務し、
その後コレラの流行の際には
わが国で初めての海港検疫を行った。

http://www.zeneiren.or.jp/pdf/anniversary02-2.pdf
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1879年(明治12年)

7月2日

内務省が、
コレラ病流行地方より横浜に入港する船舶を、
神奈川県長浦で 10 日間停船せしめるよう達し
(明治 12.7.2 内務省坤衛第 185 号)た。

入港する船舶については
船中を調査し、
汚染している場合は
直ちに神奈川県の長浦に設置してある消毒所へ回航して
消毒を施行した。84)

7月14日

コレラの国内侵入を阻止することが急務であり、
内務省が「海港虎列刺病伝染予防仮規則」を制定
(明治 12.7.14 太政官布告第 28 号)し、
海港検疫を施行した。(p.22)

http://www.zeneiren.or.jp/pdf/anniversary02-2.pdf

英国籍の同船には
日本の法律や行政権を適用できない原則があり、
対応を複雑にした。

国際法上の「旗国主義」が
こうした船舶内の感染症対策で落とし穴となっている。

国際法では
公海上の船舶は
所属国が取り締まる「旗国主義」という考え方をとる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55736490X10C20A2PP8000/
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