【ブラジル】感染者が南米アマゾン最奥地の集落にまで到達。
(2020年03月21日)南米アマゾン(Amazon)の
熱帯雨林の中心に位置するカラウアリ(Carauari)は、
簡単にたどり着ける場所ではなく、
ボートで川を上ると1週間を要する。
だが、
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって
世界規模に拡大したパニックは、
ここカラウアリにまで到達した。
ブラジル西部を蛇行して流れる、
茶色の大河川であるジュルア川(Jurua River)沿いには、
色鮮やかな高床式住宅の集落が散在しており、
制度的には「自治体」として扱われている。
だが、
住民2万9000人は
広さ2万6000平方キロに及ぶ土地に遍在し、
その多くが
このアマゾン川の支流の西岸で暮らしている。
外界とをつなぐ道路は
一本も通っておらず、
地球上で最も辺境にある町の一つだ。
ここにたどり着くには、
アマゾナス(Amazonas)州の州都マナウス(Manaus)から
飛行機で3時間かけて移動するか、
ボートで7日かけてアマゾン川、
そしてジュルア川を上るかの
いずれかしか方法がない。
ここ数週間、
新型コロナウイルスは
カラウアリの人々にとって、
ニュースで耳にしたことにある
遠い世界の話に過ぎなかった。
だが今月13日、
マナウスで
新型ウイルスの初の感染者が確認されたことで、
中国・武漢(Wuhan)から
欧州へと広がった新型ウイルスをめぐるパニックは、
今や米大陸の
ジャングルの奥地にまで到達。
外界から持ち込まれた病気による
壊滅的な歴史を持つこの地域で、
古傷となっている
かつての記憶がよみがえった。
住民のハイムンド・ダシルバドスサントス(Raimunda da Silva dos Santos)さんは
河港近くの自宅玄関から、
「病気を持ち込まないよう、
ここを離れてマナウスに行かせたり、
マナウスからここに来させたりしてほしくないと
人々は言っている」
と話す。
「私はカラウアリで生まれ、
ずっとここで暮らしてきた。
今年1月に80歳になったが、
こんなことは
今までに一度もなかったと言える」
■世界から遠く離れた場所
ジョゼ・バルボサ・ダス・グラサス(Jose Barbosa das Gracas)さん(52)は、
カラウアリの住民たちは
世界の他の地域と同様、
感染症から地域社会を守ることに
没頭していると説明。
「わたしたちができることは
すべてやっている。
テレビで言っているように、
病気を防ぐために
手を洗っている」
「病気の流行が
ここにこないよう、
ただ神に祈るのみだ」
カラウアリは17日、
市長の命令に基づき、
ボートや飛行機で到着した乗客たちを
検査するための検問に乗り出した。
だが新たな規制により、
外界からカラウアリを
さらに孤立させてしまうことへの懸念が高まった。
住民の生活は、
マナウスからボートで届けられる商品に依存している。
薬、食料、工業製品…
すべて自分たちでは
つくりだすことはできない。
漁師であるルチアーノ・ダシルバ(Luciano da Silva)さん(32)は
木造のカヌーから装備品を下ろしながら、
もしボートの航行が影響を受けた場合
「生き残るのが大変になる」と話す。
「わたしたちは
ボートに依存しているんだ」
新型ウイルスは、
アマゾンで暮らす先住民の社会において
特に懸念されている。
先住民族にとって
外界との接触はしばしば、
異質な病気による
大量死を意味するからだ。
欧州からの最初の植民者たちにさかのぼる、
長く痛ましい歴史においては、
米大陸で暮らしていた先住民の推定95%が、
主に天然痘などの病気によって死亡した。
アマゾナス州は
非常事態宣言を発令し、
外部から先住民保護区へ訪問することを
一時的に禁止。
また
全国規模の先住民組織である
ブラジル先住民連合(APIB)は、
人々が集まるのを避けるため、
会議や集会を中止した。
アマゾン川の別の支流ネグロ川(Rio Negro)沿いに住む
バレ(Bare)人の首長、
マリア・コルデイロ・バレ(Maria Cordeiro Bare)氏(40)は
マナウスで、多くの先住民コミュニティーは
新型コロナウイルス感染症に関する限られた情報しかなく、
感染症の潜在的な影響を懸念していると説明。
「先住民族にとっては
デリケートな状況だ」
とし、
「新型コロナウイルス感染症であろうと
他の病気だろうと、
これまでにさらされたことのない病気であれば、
われわれの健康や生活を脅かすこととなる」
と指摘した。
- このできごとのURL:
コメント