【アメリカ】58歳の女性が、「急性壊死性脳炎」を発症。
(2020年03月19日)新型コロナウイルスの感染が
全世界中で広がるなか、
肺炎症状だけでなく、
味覚や嗅覚などの異常も報告されるようになったが、
米国の研究で、
脳の一部で炎症や壊死が進行する
「急性壊死性脳炎」を発症していたことが明らかになった。
米ミシガン州デトロイトの
ヘンリー・フォード・ヘルスシステムの
神経科医エリッサ・フォーリー博士らの医療チームが
放射線医学誌『ラジオロジー(Radiology)』に
先月31日付で発表した症例報告によると、
航空会社に勤務する58歳の女性は先月19日、
パニック障害や方向感覚の欠如、
意識不明などの状態で同病院に救急搬送された。
インフルエンザ脳症を疑ったが…
担当医は
インフルエンザ脳症による意識障害を疑って、
ウイルス検査を行ったが陰性。
さらに脳脊髄液を採取して、
ヘルペスや帯状疱疹、
西ナイル熱などのウイルスについても調べたが、
3日かけても原因は一向にわからなかった。
そこで、
米疾病予防管理センター(CDC)が開発した
検査キットを使って調べたところ、
新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたという。
同時に、
頭部のCTスキャン検査を実施したところ、
脳の中心部分にあって、
視覚や聴覚、運動などをつかさどる「視床」に
損傷が見つかり、
壊死が起きているのが判明。
さらに脳のMRI検査の結果、
側頭葉の血管が破裂して
出血しているのも見つかった。
当初、
急性脳炎を疑っていた医療チームは、
免疫機能が暴走して、
自身の体にダメージを与える
「サイトカインストーム」を起こしていると判断。
サイトカインとは、
白血球など
免疫系の細胞から分泌されるタンパク質で、
ウイルスや病原体の増殖を抑える
などといった役目を果たす。
サイトカインストームとは
しかし、免疫系のバランスが乱れて、
サイトカインの制御ができなくなると、
サイトカインストームといって
サイトカインの過剰分泌を起こし、
ひどい場合は死に至ることもあるという。
ヘンリー・フォード・ヘルスシステムのチームは
「新型コロナウイルスが原因で、
急性壊死性出血性脳症を起こした
初めての症例だ」
として、
現場で働く臨床医や放射線医は、
この症状の進行に注意するよう呼びかけている。
- このできごとのURL:
コメント