ローマ教皇が、「ベーシックインカム」を提言。

(2020年04月12日)

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2020年4月12日に、
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が、
無条件かつ一律に
一定額の給付を行う「ベーシックインカム」の導入を
世界に向けて提言したと報じられています。

フランシスコ教皇は、
キリスト教において
重要な復活祭の日だった4月12日に、
「主立った社会運動や組織の兄弟姉妹たちへ」
という書簡を発表。

その中で教皇は、

「今こそ、
ユニバーサルベーシックインカムを
検討すべき時かもしれません。

これは、
『権利のない労働者など存在しない』
という人間的で
キリスト教的な理想を
現実のものにすることでもあります」

と述べました。

なお、
ユニバーサルベーシックインカムとは、
給付に一定の要件を設けることがある
広義のベーシックインカムとは異なり、
国民に対し
無条件で一律の金額を給付する制度を指します。

フランシスコ教皇は同時に、

「私は、あなた方が
グローバリゼーションの恩恵から
締め出されていることを知っています。

多くの人々が、
法的な保証のないまま
日々を生きています。

特に、露店で商売を営んでいる人・リサイクル業者・
巡業で働く人・小規模農家・建設労働者・洋裁師・
さまざまな種類の介護職など、

経済を縁の下で支えている人の多くは
この苦難の多い時期を乗り切るための
安定した収入がなく、

都市封鎖に
耐えきれなくなってきています」

と述べて、

経済的に厳しい立場にある人が
長引く新型コロナウイルス危機の
あおりを受けていることに対する
危機感を示しました。

その上で
フランシスコ教皇は

「皆さんには、
『パンデミック後の生活』についても
考えてほしいと思います。

この波乱はいずれ過ぎ去りますが、
重大な影響は
既に表れ始めているからです」

「この危機が、
私たちを
手綱を握る者のいない自動運転状態から解放し、
眠っていた良心を揺り起こし、
偶像崇拝的な拝金主義に終止符を打ち、
人間の命と尊厳を中心とした
ヒューマニズムとエコロジーへの転換を
引き起こしてくれることを願っています」

と述べて、
今回のパンデミックが
社会経済の在り方を変える好機だ
との見方を示しました。

経済的不平等を問題視するローマ教会の姿勢は、
古くは1891年に
当時の教皇レオ13世が著した
「レールム・ノヴァールム」の中にも見られます。

しかし、
フランシスコ教皇が今回、
具体的に「ユニバーサルベーシックインカム」という言葉を用いた背景には、
新型コロナウイルスの危機に伴い、
多くの地域で
経済が壊滅的な打撃を受けている
という現状があると指摘されています。

こうした状況の中、
2020年4月12日時点で
ヨーロッパで新型コロナウイルスの感染者数が最も多いスペインでは
既に、ユニバーサルベーシックインカムの実現に向けた議論が
活発になっています。

またフランシスコ教皇の発言は、
新型コロナウイルスの感染者数が
世界最多のアメリカでも注目を集めています。

一時、
2020年アメリカ合衆国大統領選挙に出馬することを表明していた
アメリカの実業家アンドリュー・ヤン氏は
Twitterでフランシスコ教皇の発言を取り上げて、
「発想の大転換」と述べました。

アメリカでは既に、
新型コロナウイルスの影響を緩和させる
総額2兆ドル(約220兆円)規模の経済刺激策の一環として、
年収が一定以下の大人1人につき
最大1200ドル(約13万円)を支給することが決定していますが、
これは1回限りです。

ヤン氏は、この支援策を
恒常的なものにするべきだ
と主張しているとのことです。

フランシスコ教皇の発言をきっかけに、
SNS上では
「#PopeforUBI(ユニバーサルベーシックインカムの教皇)」
というハッシュタグが誕生し、

ヤン氏の支持者(Yang Gang)を中心に
急速に支持を拡大しています。

Twitterでは

「フランシスコ教皇のこの言葉は、
元大統領候補をして『すごい』と言わしめました」

といった投稿や……

「今こそ『#PopeForUBI』をトレンドにする時です。

Yang Gangのみんな、
どうすればいいか分かっているよね?

ゴーゴーゴー!」

「フランシスコ教皇、ありがとう!」

といったツイートが相次いでいました。

https://gigazine.net/news/20200413-pope-universal-basic-income/

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