【スウェーデン】死亡率が、アメリカや中国の2倍以上となる。

(2020年04月30日)

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<より多くの人を
ウイルスにさらすことで
集団免疫を獲得する、

という
スウェーデンだけの「人体実験」には
国内から反対も出始めている>

ロックダウンに頼らない
独特の新型コロナウイルス対策で知られるスウェーデンで、
感染者が増え続けている。

しかも
米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によれば、
死亡率は4月30日時点で12%超。

これは、
感染者が1000人を超える国の中で
6番目に高い割合で、

現在の感染拡大の中心地で
死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、
ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても
2倍以上の高さだ。

新型コロナウイルスの
感染拡大を抑える対策としては、

北欧諸国も含む
ヨーロッパの多くの国が

全国的な封鎖措置を取り、
厳しい移動規制を敷いている。

こうしたなか、
スウェーデンは
全国的な移動規制や
外出制限をしないという
独自路線を貫いており、

ストックホルムの通りの人出も
カフェの客入りも一見、
普段通りだ。

その「緩い」対策は、
世界的にも論議を呼んできた。

ドナルド・トランプ米大統領は
4月30日朝、

公式アカウントに
ツイートを投稿。

この中で

「封鎖措置を取らなかったスウェーデンは、
その決定の手痛い代償を払っている」

と指摘。

「同国では
30日の時点で、
死者数が2462人にのぼっている。

近隣のノルウェー(207人)、
フィンランド(206人)や
デンマーク(443人)よりも
ずっと多い。

アメリカは
正しい決断を下したのだ!」

と主張した。

「集団免疫」戦略の効果は

スウェーデンは
これまでに2万1000人近くが
新型コロナウイルスに感染した
と報告しており、

このうち
2500人近くが死亡している。

感染者の死亡率は
ノルウェー(約2.6%)の6倍近く、
同じ北欧のフィンランド(約4.2%)や
デンマーク(約4.9%)と比べても
3倍近くにのぼる。

かつて
中国以外で最も高かった
イランの感染者死亡率(約6.3%)も、

スウェーデンの半分ぐらいだ。

感染者数を見ても、
スウェーデンの感染者数は
デンマークの2倍以上、
ノルウェーの3倍近くで、
フィンランドの4倍以上に達している。

感染者の回復状況も
思わしくなさそうだ。

スウェーデンは
4月に何度か
感染者の回復を報告しており、

最も多かった25日には
一気に455人が回復した
と発表しているが、

それ以外の報告はない。

その一方で、
感染拡大が始まった3月上旬から、
新たな新規の感染者の数は増え続けており、

同国の公衆衛生当局によれば
4月29日には
新たに681人の感染が確認された。

新型コロナウイルスの
感染拡大に対する
スウェーデン独自の対策は、

ウイルスにさらされる人の数を増やすことで
「集団免疫」を形成し、
感染拡大の第2波を防ぐ
という作戦の一環だとされている。

スウェーデン公衆衛生局の疫学者である
アンダース・テグネルは

4月下旬に
BBCラジオの番組に出演し、

「我が国の死者のうち
少なくとも半数は、

高齢者施設の中で
集団感染した人々だ。

封鎖をすれば
感染拡大を阻止できる、
という考え方は理解しがたい」

と主張。

スウェーデンの方法は

「ある意味で
功を奏している。

私たちの医療システムが
崩壊に追い込まれていないことが
その証拠だ」

と述べた。

テグネルは4月21日、
米CNBCの番組にも出演。

スウェーデンの首都ストックホルムの住民のうち、
最大20%が
新型コロナウイルスに感染したことがあると述べ、

「ストックホルムの人口の15~20%が
既に免疫を獲得していると確信している」

と主張。

「これは完全な集団免疫ではないが、
ウイルスの再増殖を抑制し、
感染の(第2波が訪れる)スピードを
抑える効果はあるだろう」

と述べた。

ルンド大学(スウェーデン)の
ピーター・ニルソン教授(内科医学・感染学)は
4月下旬、
本誌に次のように語った。

「個人的には、
必要であれば

(そして地元の政府や議会で
それを可能にする法律が可決されれば)

感染者の特に多い地域を
封鎖するのも
ひとつの選択肢だと考えている。

だが我々は、
まだその段階には
達していないと思う。

医療部門には
大きなストレスがかかっているが、
手一杯の状態ではない。

まだ余力があり、
ストックホルムにある臨時病院も
まだ使っていない」

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93307.php

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