【東洋経済】「重症の直前まで自覚症状のない『無症候性低酸素症』で説明がつく。」

(2020年04月24日)

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・まず前提として、

人間の体は
二酸化炭素濃度の上昇には
非常に敏感に反応する(=苦痛を感じる)が、

一方で
酸素濃度の低下には
意外にも鈍感(=苦痛を感じない)だという特徴がある。

・通常、肺炎が進行すると
「酸素の取り込み機能」と
「二酸化炭素の排出機能」の
両方が阻害される。

ゆえに体内では
「酸欠」と「二酸化炭素の蓄積」の両方が
同時進行する事になり、

体は
二酸化炭素濃度の上昇を
早期に感知して
苦痛アラート(胸部の不快感や呼吸時の痛みなどの呼吸障害)を発令できる。

・しかし驚くべき事に、
新型コロナは、
肺機能のうち、
「酸素の取り込み機能」のみを
選択的に侵してゆく。

二酸化炭素の排出機能については
あえて温存させておくのだ。

するとどうなるのかというと、

体内の酸素は
どんどん目減りして
慢性的な供給不足に陥るのに、

二酸化炭素は
滞りなく排出されているので
いつまで経っても
体は肺炎に気づけない
という異常事態が出現する。

・正常な酸素濃度が94~100%の所、
50%という重症レベルまで低下してから
やっと受診に至る患者もいた。

なお
臨床的に
呼吸不全と定義されるのは
90%以下からである。

息切れを感じることなく
突然死亡する新型コロナ患者の症例は、
この「無症候性低酸素症」が
急速に呼吸不全に進展する事態で
説明できる。

“自覚症状が出る=重篤化寸前”、
これが新型コロナ。

・以下、記事抜粋。↓

驚いたことに、
私が見た患者のほとんどは、

1週間ほど前から
発熱、咳、胃もたれ、倦怠感などの症状が出ていたが、

来院するまで
息切れは感じていなかった。

肺炎は
明らかに何日も続いており、

来院した時は
すでに重体になっていることが多い。

救急科では、
さまざまな理由で
重症患者に呼吸管を挿入する。

しかし、私の30年の経験では、
緊急挿管を必要とする患者のほとんどは、
ショック状態にあるか、
精神的に混乱しているか、
あるいは、息をするために
うなり声を上げるかしている。

急性低酸素症のために
挿管を必要とする患者は、

多くの場合、
意識を失っていたり、
呼吸をするために
あらゆる筋肉を使っている。

だが、
新型コロナ肺炎の症例はまったく違う。

私が診た新型コロナ肺炎患者の大多数は、
トリアージ時の酸素飽和度が著しく低く、
一見通常生活を送れないような状態なのに、
挿管の準備をする時でさえ
スマホをいじっていた。

呼吸は速いし、
胸部レントゲンでは
危険なほど酸素濃度が低く、
ひどい肺炎であったにもかかわらず、

見た目には
比較的最小限の苦痛を抱えているだけだったのだ。

目立って呼吸がきつくなり、
危険なほどの低酸素レベルで
病院にやってきたときにはもう、
最終的に
人工呼吸器が必要となることが多い。

息切れを感じることなく突然死亡する
新型コロナ患者の症例は、
無症候性低酸素症が
急速に呼吸不全に進展する事態で
説明できる。

救急で訪れる患者の肺損傷が
驚くほど重篤なため、

このパンデミックは
医療体制に大きな負荷をかけている。

新型コロナによる死亡は、
肺機能の悪化によるものが圧倒的に多い。

また、
肺炎が十分進行するまで
病院に行かない患者があまりに多いため、

多くの人が
最終的に人工呼吸器につながれ、
これが機器不足につながっている。

そして、
いったん人工呼吸器につながれたら、
多くの人が死んでいく。

・これらの事実により、
記事筆者は
水面下で進行する「無症候性低酸素症」の
早期発見こそが肝要だと説く。

それには
市販の「パルスオキシメーター」という器具が
血中酸素濃度をチェックする上で有用であり、
現に

知人の救急医2人は
これで早期発見・治療を行い回復した。

・病院検査に依らない
スクリーニングへの活用も期待できる。

周知の通り、
PCR検査の精度は約70%しかない。

陽性はむろん陰性であっても
2週間はこれでモニタリングすべきだ。

https://toyokeizai.net/articles/-/346423

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