【アイントホーフェン工科大学】「ジョギングだと10mの間隔が必要。」
(2020年04月21日)新型コロナウイルスの影響で
外出の機会が減ったとは言え、
食料や生活必需品を買うためには、
どうしても外に出なければなりません。
そこで懸念すべきは、
店内など狭い室内での感染です。
実際、室内では
どれほどの感染リスクがあるのでしょうか。
その危険性を
3Dシミュレートした映像が、
アールト大学、ヘルシンキ大学など、
フィンランドの複数の研究チームにより公開されました。
本研究は、
感染者の咳・クシャミが、
1度でどれほど室内に拡散するかを
シミュレーションしたものです。
数分で店内の広範囲まで拡散!
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の
主な感染経路は、
感染者の飛沫です。
飛沫感染では、
ウイルスが咳やクシャミにより
体外に排出され、
空気中に散布されます。
空気感染とは違い、
ウイルスが唾液や鼻水などの水分に包まれているため、
その重みで排出後すぐに落下するのが特徴です。
しかし、風の条件や感染者のマスクの有無などで、
飛沫の飛距離は変わります。
また、飛沫は目にも見えないため、
その拡散力を知ることは重要でしょう。
こちらが、
食料店内を想定した
飛沫拡散のシミュレーション映像です。
棚を挟んで、
2つの通路に
それぞれ人がいます。
右側が感染者で、
咳・クシャミを1度行ったと想定します
(マスクはしていません)。
上側のゲージは
移動時間(分)を、
右側のメーターは
飛沫の高さ(m、黄色が高く、青は低い)
を表します。
すると、
飛沫は
1分足らずで反対通路まで移動し、
2?3分後には、
店内の広い範囲にまで拡大しました。
研究チームは
「シミュレーションの結果、
飛沫の塊は、
予想とは反対に、
長時間、空気中に留まることが判明しました。
拡散力も高く、
食料品店に行く場合は、
できる限り
混雑する時間帯を避けた方が良いでしょう」
と指摘します。
「社会的距離」は有効か?
現在、飛沫による感染拡大を防ぐため、
「社会的距離(Social Distance)」
を取ることが推奨されています。
一般的に
取るべき社会的距離(人と対面で話す場合)は、
1.5?2メートル以上です。
しかし、
外でのウォーキングやジョギング、サイクリングでは、
また距離が変わってきます。
オランダ・アイントホーフェン工科大学は、
これらを2人で行う場合の
必要距離をシミュレーションしました。
研究主任のバート・ブロッケン氏は
「ペアで行う場合、
縦並びの方が感染リスクは高まる」
と指摘します。
当然ながら、
走っていると
飛沫は後方に飛ぶので、
後ろにいる人は危険です。
「縦並びで歩く場合は、
最低でも4?5メートル、
ジョギングの場合は10メートル、
サイクリングなら20メートルは必要」
と同氏は言います。
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しかし、この距離は
気候条件が穏やかな場合に限ります。
風が強い日や風向きによっては、
上にあげた距離は
まったく意味をなしません。
そのため、
社会的距離は、
室内環境や天候に左右されない場合の
目安程度に考えた方が懸命でしょう。
大切なのは「危機感」と「モラル」
これでは、
いくらマスクで予防したり、
社会的距離を取ったところで
安心はできません。
しかも、新型コロナウイルスは、
無症状(潜伏期間中)でも感染するため、
誰が感染しているのか分かりませんし、
あるいは自分がすでに感染している可能性も考えられます。
新型コロナの潜伏期間は、
平均して5日?2週間とかなり長いため、
この間に外出して、
意図せず感染を拡大してしまう恐れもあります。
そこで大切なのは、
各人の「危機感」と「モラル」です。
少しでも体調が悪かったり、
咳が続くなら、
自宅で待機しましょう。
体調が良くても、
マスクの着用や手洗い・うがい、
不必要な外出の自粛の徹底が肝心です。
一人一人の意識が、
今後の明暗を分けるでしょう。
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