【本田由紀】求職者が実は増えていることから、玄田の「若者無気力」論に反論。★
(2005年03月)◎ 反駁への確たるデータ
「就労構造基本調査」では、
ニートを2つに大別しています。
一つは
「働く意欲はあるけれども
求職行動をとっていない人たち」
と、
「まったく働く意欲を
持っていない人たち」
です。
92年、97年、02年の調査結果によると、
前者が若干数増えているのに対し、
後者の数はほとんど増えていません。
働く意欲のない若者は、
じつは世間が騒いでいるように
増えてはいなかったのです。
私自身、
「ニートが増えている」
という言説に疑問を感じていましたが、
このデータにより
「やっぱり現状はちがうじゃないか」と。
さらにもう一つ、
先の調査では
「求職者数」の統計もとられました。
じつは急激に増えているのは、
この求職者の人たちです。
この10年間で
2倍以上(約120万人)に達しています。
つまり、若者は
労働市場におけるポストがない。
労働経済学のなかでは、
こうした厳しい労働状況だと
「退避する労働者」(ディスカレッジド・ワーカー)が
増えるという考え方があります。
つまり、いまは
労働条件が厳しいから、
その間に資格を取ったりしながら、
状況がよくなるのを待とう
とする人たちですね。
考えれば当たり前のことですが、
こうした人たちも
「ニート」に分類されました。
この事実は、
若者個人に帰責できる問題ではなく、
労働市場の需給関係において
問題があるということを示しています。
――現在のニート観には、
どのような問題があるのでしょうか。
ニートという新しい概念を説明する際に
「消極的である」とか
「意欲がない」とか、
個人の内面のあり方で説明されてきた
という問題は大きかったと思います。
ニートという言葉の広がりを見て、
政治家や識者からは
「愛国心がないから、国のために働かず、ニートになるんだ」
「ニートを育てた親の教育が悪い」
といった意見も出されました。
元自民党幹事長の武部勤氏は
「(ニートは)自衛隊に入って、
サマワに送ればいいんだ」
とも発言しています。
これらは各人の持論を
むりやりニートにくっつけて主張したにすぎず、
なんの科学的根拠もありません。
http://www.futoko.org/special/special-02/page0513-121.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/本田由紀
H17青少年の就労に関する研究調査 【PDF形式】
平成17年7月 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
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