【Newsweek】経団連が雇用保険を使った「氷河期世代」救済に反対する理由。
(2019年09月19日)つまり雇用保険の積立金は
しっかり「蓄えておくように」
と言うのです。
こちらは構造改革が進む中で
解雇規制が解除された場合に、
財界全体として
相当の人員整理が起きていく可能性があり、
これに備えるには
失業保険の財源を
しっかりしておく必要があるからだと思います。
問題は(1)です。
この「雇用保険2事業」というのは、
「雇用の安定」と「能力開発事業」を目指したもので、
政府が企業から徴収した
保険料を財源とするものです。
ですから、この資金を
「氷河期世代」の職業訓練に使うというのは、
極めて理にかなっているわけです。
ですが、経団連は
「政策目標の明確化や
効果の検証が必要」
という言い方をしています。
まるで「効果が疑問」と言わんばかりで、
要するにほとんど反対しているようなものです。
経団連としては
「40歳前後まで
非正規労働を続けてきた人材には
期待していない」
あるいは
「自分たちは
雇うつもりがない」
と言っているように聞こえます。
そのぐらい冷たい表現です。
さらに言えば、
経団連というのは
日本のGDPを必死に改善して、
日本国内の経済水準の衰退を止めるとか、
日本国内の雇用を確保することよりも、
日本の大企業に
「本社採用された
終身雇用の正社員による共同体」
の利害代表であって
それ以外ではない、
そう宣言している
という見方もできるでしょう。
そう考えれば
(2)も全くだと言えます。
雇用保険の最大の問題は、
雇用の不安定な非正規労働者に対する
セーフティネットとしては
機能していないことです。
現在の雇用保険の積立金が
余っているという事実が、
まさに制度の歪みを証明しています。
その点には全く言及せずに、
正社員が失業する時代に備えて
積立金を蓄えておこうというのは、
やはり
「大企業の正社員による共同体」の利害しか
考えていないということを示しているからです。
それにしても、
日本の生産性が
ここまで落ち込んでいるなかでは、
大企業として
は抜本的な改革を必要としているはずです。
その意味で、
非正規労働者として
長年シビアな現場を経験してきた
「氷河期世代」の中には、
新卒以来正社員として
ヌクヌクと勤務してきた人材には
気付かないような
業務改革のヒントを持っている人材も
必ずいるはずです。
正社員経験のない人材は斜に構えているとか、
権利意識ばかりで
経営感覚がないなどとボロクソをいうのは、
むしろ凡庸な経営者であり、
「ロスジェネ」の視点に期待するという企業が
そろそろ出てきてもいいのではないでしょうか。
その意味で、経団連の提言は
二重に残念とも言えます。
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