【私学助成PT】「今後の私学助成策について」(中間報告第一次草案)[A]

(1973年09月12日)

そして,『塩崎試案』を発展させた形で,
同年9月12日に
(A)『今後の私学助成策について(中問報告第一次草案)』が,
翌年2月8日には(B)「中間報告第二次草案」が発表される。

前者は,私学助成PTが始めて公式発表したものであるが,
私学助成に対する国の基本的姿勢を明確にし,
私学教育経費以外の助成についても
包括的に検討していく方針を打ち出した点,

後者は,「二分の一補助」は
「国公立」の経費を基礎にするという方針を明確しながら,
「臨時私学助成法」制定の旨を述べている点が特徴的であった。

その後,2月21日には,塩崎潤の「私案」という形で,
初の「法案要綱」,
(C)『私立学校振興法案要綱案』が発表される。

私学の経常費と施設整備費を対象に,
国公立の経費を基礎として,
大学に二分の一,
高校以下に四分の一を補助するとした『塩崎私案亅は,
前述の(A)(B)と同様の流れを汲むものだが,
巨額の予算が必要となることから
実現可能性に乏しいとの批判がある一方で,
助成積極主義的な総合的私学振興法の制定を目指していると

78日本教育行政学会年報No.32(2006)
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私立学校振興助成法の制定をめぐる政治過程の評価も得ている(7}。

しかし(C)以後は,
後述する私学助成PTと
その他政府内部アクターとの交渉の影響を受けて,
法案には「助成面」よりも
「規制面」での規定が顕著なものとなってくる。

まず,4月1日発表の(D)『私立学校振興法案要綱』では,
私学振興財団による補助金の減額・不交付,
財務計算書類等の届出義務,
役員解職命令権など,
行政指導の余地を拡大させる規定が新たに設けられた。

また,5月16日発表の(E)『私立学校振興助成法案要綱(第一次案)』では,
補助金の限度額策定や増減額
および不交付の判断などに関する私学振興財団の積極的活用,
学校法人の自助努力に応じた補助金増額などが規定された。

さらに,初めて「条文化」された,
12月26日発表の(F)『私立学校の助成に関する法律案要綱(第二次案)』では,
第一に,私学助成を定める私立学校法第59条の規定を
「別に法律で定める」と改正し,
私学助成に関するものは私学助成法で
一括網羅するように法体系整備を図ること,

第二に,所轄庁の権限として,
報告徴収,質問検査権,
予算の変更勧告権,
法令等違反の場合の設備・授業等の変更命令権,
役員解職勧告権が明記された。

このように,
私学振興財団
および所轄庁の権限規定が
追加される形で法案が修正されていったこともあり,
私学関係者の間では
私学に対する
指導・監督の強化が危惧されていた。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeas/32/0/32_KJ00008571815/_pdf

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