【日経】日銀が来年末にも日本株の最大株主となる見通し。(GPIFを上回り東証1部の時価総額6%超)

(2019年04月16日)

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株式市場で
日銀の存在感が
一段と大きくなっている。

日本経済新聞の推計では、
日銀は
2020年末にも公的年金を上回り、
日本最大の株主となる見通しだ。

機関投資家・外国人が主導して発展してきた日本の資本市場は、
中央銀行が主導する
これまでにない段階に入る。

日銀は、
日本株に投資する上場投資信託(ETF)を
年間約6兆円購入している。

日銀の保有残高(時価ベース)は
3月末時点で28兆円強となった。

東証1部の時価総額の
4.7%に相当する。

日銀が同じペースで買い続けると仮定すると、
20年11月末には約40兆円に増える。

現在6%超を保有すると見られ、
最大の株主である
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を
上回る計算だ。

個別企業でみると、
日銀の存在感は一段と増す。

日銀が公表する買い入れ基準などをもとに
実質保有額を試算すると、
日東電工やファナック、オムロンなど
23社で筆頭株主になったもよう。

上位10位以内の株主を指す「大株主」基準では
3月末時点で、上場企業の49.7%と半数で
日銀が大株主となった。

日本の資本市場は、
戦後まず年金・保険制度の確立や
金融法制の整備を背景に、
個人から機関投資家に
主役が交代してきた。

その後、
資本自由化を背景に
外国人の影響力が増した段階を第2幕とすると、
日銀が市場の主役となってきた現在は
第3幕と言える。

公的年金に代わって
日銀が最大株主となる来年末は
日本の資本市場の転換点となる。

日銀は、
市場の不安定な動きを抑え、
2%の物価上昇率目標を達成するための
金融政策の一環として
日本株を購入している。

日銀の黒田東彦総裁は
16日の国会答弁で、

「企業や家計の(消費や投資など)
前向きな経済活動を支える」

と意義を強調した。

株高は投資家に資産効果をもたらし、
心理を明るくするなど、
経済に及ぼす好影響は少なくない。

ただ純投資目的で
株式を保有しているわけではない日銀が
市場の主役となる副作用は大きい。

企業統治面では、
日銀が投資するETFの運用会社が
企業に対し議決権を行使する。

日銀がETFを通じて業績にかかわらず、
幅広く株式を買い続けることで、
上場企業の経営規律の
緩みにつながりかねないとの指摘は多い。

東証1部では、過去10年間で
5回以上赤字を計上した企業は
計54社にのぼる。

新日本科学など
赤字の回数が8回に達した企業も存在する。

日銀が筆頭株主とみられる企業の幹部は

「株式報酬などで
従業員の士気を高めようとしても、
何をしても株価が下がらないのなら
効果が期待しにくい」

と漏らす。

株安局面に転じて
日銀の自己資本が毀損する事態になれば、
通貨の信認も揺らぎかねない。

日銀の雨宮正佳副総裁は
3月に国会で

「日経平均株価が
1万8000円程度を下回ると
保有ETFの時価が簿価を下回る」

との試算を示した。

足元の株価水準からは距離があるが、
将来の景気後退局面などで
含み損が発生する可能性は
ゼロではない。

満期を迎えると償還する国債や社債と違い、
ETFには満期がない。

残高を減らすには
市場に売却する必要があるが、
株価の下落を招かないように
長い時間をかけて
慎重に売却せざるを得ない。

自縄自縛ともいえる状況に
市場では

「日銀は(売却をあきらめて)
塩漬けするしかなくなった」

(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)

との声もあがる。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43792260W9A410C1EA2000/

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