「脳死」に疑問、解けぬままに(声)

(2000年10月11日)

011322000年10月11日朝刊オピニオン201400393文字 看護婦 尾崎友枝(新潟県両津市 25歳)
「宗教家も交え移植の議論を」という六日の意見に同感である。臓器移植の意思決定は、たとえ十五歳以下の子供であっても、すべての人間に等しく権利があるものと考える。本人の意思が尊重されないまま、家族が同意すれば移植出来ることを法で定めるということは、法律による圧力ではないだろうか。
かつてクラスメートが脳死に近い状態で亡くなっているので、私は臓器移植問題には関心があった。「脳死が人の死だ」という概念に疑問も感じていた。臓器移植法が実施されてから臓器移植の症例が少ないのは、多少なりとも「脳死は人の死ではないのではないか」と感じるところがあることを反映した結果ではないかとも思う。
確かに移植が必要な人にとって、臓器移植は救いかもしれない。しかし、世論と推進側の見解があいまいにすれ違ったまま臓器移植改正案を確立していくことに大きな懸念を感じる。