本人の意思を大事に 臓器移植(社説)
(2004年03月08日)008762004年03月08日朝刊2総合00201119自民党が臓器移植法の改正案をまとめた。
「脳死判定を受けて臓器を提供する」という本人の意思がドナーカードなどではっきり示され、家族も同意したときだけ臓器を提供できる。これが現行法の規定だ。
改正案は、本人が拒否の意思を書面で残していない限り、家族の同意だけで提供できるようにする。臓器移植を認める条件を根本から緩めようというものだ。
背景には、脳死移植がなかなか増えないことがある。97年に臓器移植法が施行されてから、臓器を提供した脳死者は30人に満たない。一方で、家族からの生体移植が増えている。生体移植は提供する側の負担が健康面でも心理面でも並大抵ではない。
条件を緩め、脳死移植を増やしたい。そうした気持ちは理解できるが、家族の同意だけでよしとすることには賛成できない。
医師と患者の関係は変わりつつあるとはいえ、医師には逆らえないと感じている患者や家族は多い。本人の意思がはっきりしない場合、医師から臓器提供を強く求められたら、十分納得できないのに同意してしまいかねない。もっと治療を続けていればと、後で悔やむ家族も出てくるだろう。
94年にいったん国会に提出された法案では、家族が本人の意思を推し量って臓器提供をしてよいとしていた。これに強い批判が出て、本人の意思を尊重することになった。臓器移植法が成立した国会でも、衆院では脳死を死とする法案が可決されたが、参院で「本人の意思表示があるときだけ脳死を死とする」と修正された。こうした重い歴史を忘れてはなるまい。
もう一つの問題は脳死の子どもからの臓器提供を認めるかどうかだ。
15歳未満は民法で生前の意思表示が認められていないため、本人の意思表示が前提となる現行法では臓器を提供できない。その結果、海外に渡って子どもにあった臓器の移植を受ける例が後を絶たない。
日本小児科学会は昨年、子どもからの脳死移植を容認したが、前提として子どもの人権を損なわないことを挙げた。親に虐待される子もいる状況では、親の同意だけで臓器を摘出できるようにするのはためらわざるをえない。学会の提言のように、子どもの意思を示すチャイルド・ドナーカードや小児移植コーディネーターの育成などの仕組みを整えることが必要だろう。
どうやったら、重い病気に苦しみ、臓器移植による治療を望んでいる人たちの願いに応えていけるのか。
自民党案には、臓器提供の意思を運転免許証や健康保険証に書けるようにするという項目がある。これらには賛成したい。
ドナーカードをもっとわかりやすく、書きやすいものにし、臓器提供してもいいという人の意思を確実に生かす。まずは、こうした工夫を重ね、脳死移植に対する関心を高めていきたい。
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