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003712009年07月14日朝刊特設A00704707文字改正臓器移植法は、麻生首相が衆院解散の日程を明らかにした13日に駆け込みで成立した。衆院通過からわずか1カ月弱。解散で廃案にならないよう、早期採決を求める与野党の思惑が一致。「再考の府」の機能は十分発揮されなかった。
13日採決を主導した民主党の輿石東参院議員会長は、「脳死は人の死」とするA、修正Aの両案に反対した。だがA案の成立後、記者団に「懸案が片づいたという気持ちか」と問われると、「そう思います」と淡々と答えた。
民主党は当初、審議が拙速だと批判されないよう、慎重に採決日程を探った。だが、5日の静岡県知事選勝利、12日投開票の東京都議選での「優勢」報道を受け、首相を早期解散に追い込むため、参院に首相問責決議案を提出する案が浮上。可決されると参院審議が止まるため、臓器移植法改正案をその前に採決する必要があった。自民党も首相の解散判断を縛らないよう早期採決を求めたことから、13日採決の日程が決まった。
審議を尽くしたかという思いは、少なからぬ議員が抱いているようだ。「国民投票にかけるような話だ」と、今国会採決に難色を示し、修正A、Aの両案に反対した西岡武夫・参院議院運営委員長（民主党）は13日、「まあ決まったわけだから」とコメントを避けた。一方、議長を務めて採決に参加しなかった江田五月参院議長は記者団に「解散で廃案になるより一定の結論を出した方がいい。議会とはそういうところだ」と語った。
子ども脳死臨調設置法案に賛成の共産党を除く各党は党議拘束を外したが、自民党議員は9割にあたる67人がA案に賛成。A案に賛成した138人のほぼ半数を占めた。公明党は14人が賛成し、反対は6人。民主党は反対56人、賛成52人と真っ二つに割れた。
三つの改正案のうち最初に採決され、賛成が過半数に達せず廃案となった修正A案が、2番目に採決されたA案の成立に貢献した様子もうかがえる。修正A案に賛成した72人のうち、76％にあたる55人がA案に賛成、修正A案の提出者も6人中5人がA案に賛成したからだ。
修正A案の提出者は当初、「脳死を人の死とすることにまだ国民的合意がない」「臓器提供側への配慮が欠けている」などとA案を疑問視していた。しかし、A案支持の団体は「『脳死は人の死』は臓器移植の場面に限られる」と議員を説得。修正A案がA案支持のすそ野を広げる効果を果たした。修正A案提出者の自民党の西島英利参院議員は「（廃案になると）子どもの臓器移植ができなくなる。苦渋の選択だが賛成した」と明かした。
（北沢卓也、南彰）

○厚労相はA案賛成
臓器移植法を所管する舛添厚生労働相（参院議員）はA案に賛成した。これまでは「大臣として『どれがいい』ということは言わない方がいい」と賛否を明らかにしてこなかった。舛添氏は審議の中で法案の解釈を尋ねられても「政府は答弁のしようがない」として、具体的な答弁を避けてきた。

■A案、会派別の賛否
賛成 反対
民主党・新緑風会・国民新・日本 52 56
自由民主党 67 6
公明党 14 6
日本共産党 0 7
社会民主党・護憲連合 0 4
改革クラブ 4 0
無所属 1 3
計 138 82

■全議員の賛否（参院）
《表の見方》 臓器移植の場合に限り「脳死は人の死」と明記した修正A案、「脳死は人の死」を前提にしたA案の順に賛否を記した。「○」は賛成、「×」は反対、「－」は棄権または本会議欠席を指す。江田五月議長は投票していない。議員の所属は政党。氏名に続く〈民〉は民主、〈自〉は自民、〈公〉は公明、〈共〉は共産、〈社〉は社民、〈国〉は国民新党、〈改〉は改革クラブ、〈無〉は無所属。敬称略。

＜選挙区選出＞
《北海道》
小川勝也 〈民〉 ××
伊達忠一 〈自〉 ○○
中川義雄 〈自〉 ――
峰崎直樹 〈民〉 ――
《青森》
田名部匡省 〈民〉 ――
平山幸司 〈民〉 ―○
《岩手》
主浜了 〈民〉 ××
平野達男 〈民〉 ×○
《宮城》
愛知治郎 〈自〉 ○○
市川一朗 〈自〉 ○○
岡崎トミ子 〈民〉 ××
桜井充 〈民〉 ×○
《秋田》
鈴木陽悦 〈無〉 ××
松浦大悟 〈民〉 ×○
《山形》
岸宏一 〈自〉 ○○
舟山康江 〈民〉 ―×
《福島》
岩城光英 〈自〉 ×○
金子恵美 〈民〉 ×○
増子輝彦 〈民〉 ×○
森雅子 〈自〉 ○○
《茨城》
岡田広 〈自〉 ○○
郡司彰 〈民〉 ―○
長谷川大紋 〈自〉 ×○
藤田幸久 〈民〉 ××
《栃木》
谷博之 〈民〉 ○○
簗瀬進 〈民〉 ××
矢野哲朗 〈自〉 ×○
《群馬》
富岡由紀夫 〈民〉 ××
中曽根弘文 〈自〉 ×○
山本一太 〈自〉 ×○
《埼玉》
行田邦子 〈民〉 ×○
嶋田智哉子 〈民〉 ―×
関口昌一 〈自〉 ○○
西田実仁 〈公〉 ○○
古川俊治 〈自〉 ×○
山根隆治 〈民〉 ――
《千葉》
石井準一 〈自〉 ×○
加賀谷健 〈民〉 ×○
椎名一保 〈自〉 ○○
長浜博行 〈民〉 ―○
広中和歌子 〈民〉 ×○
《神奈川》
浅尾慶一郎 〈民〉 ×○
小泉昭男 〈自〉 ――
千葉景子 〈民〉 ××
牧山弘恵 〈民〉 ××
松あきら 〈公〉 ×○
水戸将史 〈民〉 ×○
《山梨》
輿石東 〈民〉 ××
米長晴信 〈民〉 ×○
《東京》
大河原雅子 〈民〉 ××
小川敏夫 〈民〉 ××
川田龍平 〈無〉 ―×
沢雄二 〈公〉 ○×
鈴木寛 〈民〉 ××
中川雅治 〈自〉 ○×
丸川珠代 〈自〉 ○―
山口那津男 〈公〉 ○○
蓮舫 〈民〉 ×○
《新潟》
近藤正道 〈社〉 ××
田中直紀 〈無〉 ××
塚田一郎 〈自〉 ○○
森ゆうこ 〈民〉 ××
《富山》
河合常則 〈自〉 ×○
森田高 〈国〉 ×○
《石川》
一川保夫 〈民〉 －－
岡田直樹 〈自〉 ×○
《福井》
松村龍二 〈自〉 ○○
山崎正昭 〈自〉 ×○
《長野》
北沢俊美 〈民〉 －－
羽田雄一郎 〈民〉 ××
吉田博美 〈自〉 ○○
若林正俊 〈自〉 ○×
《岐阜》
平田健二 〈民〉 ×○
藤井孝男 〈自〉 －○
松田岩夫 〈自〉 ×○
山下八洲夫 〈民〉 －－
《静岡》
榛葉賀津也 〈民〉 ○－
藤本祐司 〈民〉 ×○
牧野京夫 〈自〉 －○
《愛知》
浅野勝人 〈自〉 ○○
大塚耕平 〈民〉 －○
木俣佳丈 〈民〉 ×○
佐藤泰介 〈民〉 ××
鈴木政二 〈自〉 ○○
谷岡郁子 〈民〉 －×
《三重》
芝博一 〈民〉 －×
高橋千秋 〈民〉 －○
《滋賀》
徳永久志 〈民〉 ×○
林久美子 〈民〉 ××
《京都》
二之湯智 〈自〉 ×○
西田昌司 〈自〉 ×○
福山哲郎 〈民〉 ××
松井孝治 〈民〉 ××
《大阪》
梅村聡 〈民〉 ×○
尾立源幸 〈民〉 ×○
北川イッセイ〈自〉 －○
白浜一良 〈公〉 ××
谷川秀善 〈自〉 －－
山下栄一 〈公〉 ○×
《兵庫》
鴻池祥肇 〈自〉 ○○
末松信介 〈自〉 ×○
辻泰弘 〈民〉 ○○
水岡俊一 〈民〉 －×
《奈良》
中村哲治 〈民〉 ×○
前川清成 〈民〉 ○○
《和歌山》
世耕弘成 〈自〉 ×○
鶴保庸介 〈自〉 ○○
《鳥取》
川上義博 〈民〉 ××
田村耕太郎 〈自〉 ○○
《島根》
青木幹雄 〈自〉 ○○
亀井亜紀子 〈国〉 ××
《岡山》
江田五月 〈民〉 －－
姫井由美子 〈民〉 ××
《広島》
佐藤公治 〈民〉 ×○
亀井郁夫 〈国〉 ×○
溝手顕正 〈自〉 ×○
柳田稔 〈民〉 ×○
《山口》
岸信夫 〈自〉 ○○
林芳正 〈自〉 ○○
《徳島》
小池正勝 〈自〉 ×○
中谷智司 〈民〉 ×○
《香川》
植松恵美子 〈民〉 ××
山内俊夫 〈自〉 －－
《愛媛》
友近聡朗 〈無〉 ○×
山本順三 〈自〉 ○○
《高知》
武内則男 〈民〉 ×○
広田一 〈無〉 －○
《福岡》
岩本司 〈民〉 ○○
大久保勉 〈民〉 ××
松山政司 〈自〉 ○○
吉村剛太郎 〈自〉 ○○
《佐賀》
岩永浩美 〈自〉 ×○
川崎稔 〈民〉 ××
《長崎》
犬塚直史 〈民〉 ××
大久保潔重 〈民〉 ×○
《熊本》
木村仁 〈自〉 ×○
松野信夫 〈民〉 ××
《大分》
足立信也 〈民〉 ×○
礒崎陽輔 〈自〉 ×○
《宮崎》
外山斎 〈無〉 ×○
松下新平 〈改〉 ×○
《鹿児島》
加治屋義人 〈自〉 ○○
野村哲郎 〈自〉 ×○
《沖縄》
糸数慶子 〈無〉 ××
島尻安伊子 〈自〉 ○○

＜比例区選出＞
《民主》
相原久美子 ××
青木愛 ××
家西悟 ○○
池口修次 ×○
石井一 ○―
大石尚子 ××
大石正光 ――
大島九州男 ○×
風間直樹 ○×
加藤敏幸 ○○
神本美恵子 ××
川合孝典 ×○
喜納昌吉 ××
工藤堅太郎 ××
小林正夫 ○○
今野東 ××
下田敦子 ××
高嶋良充 ××
津田弥太郎 ○○
ツルネン・ マルテイ ××
轟木利治 ○○
内藤正光 ―○
直嶋正行 ×○
那谷屋正義 ××
西岡武夫 ××
白真勲 ××
藤末健三 ××
藤谷光信 ××
藤原正司 ×○
藤原良信 ××
前田武志 ××
松岡徹 ××
円より子 ××
室井邦彦 ××
柳沢光美 ×○
横峯良郎 ――
吉川沙織 ×○

《自民》
秋元司 ○○
有村治子 ××
石井みどり ×○
泉信也 ×○
衛藤晟一 ○―
荻原健司 ×○
尾辻秀久 ×○
加納時男 ○○
川口順子 ○○
神取忍 ○×
佐藤昭郎 ○○
佐藤信秋 ×○
佐藤正久 ○○
山東昭子 ―○
中村博彦 ×○
中山恭子 ―○
西島英利 ○○
橋本聖子 ○○
舛添要一 ×○
丸山和也 ××
南野知恵子 ○○
松村祥史 ×○
水落敏栄 ○○
山田俊男 ○○
山谷えり子 ××
義家弘介 ○―
脇雅史 ○―

《公明》
荒木清寛 ○○
魚住裕一郎 ○○
浮島智子 ○×
風間昶 ○○
加藤修一 ――
木庭健太郎 ○○
草川昭三 ○○
谷合正明 ○×
浜田昌良 ○○
浜四津敏子 ×○
弘友和夫 ○○
山本香苗 ×○
山本博司 ○○
渡辺孝男 ○○
鰐淵洋子 ○×

《共産》
市田忠義 ××
井上哲士 ××
紙智子 ××
小池晃 ××
大門実紀史 ××
仁比聡平 ××
山下芳生 ××

《社民》
福島瑞穂 ××
渕上貞雄 ××
又市征治 ――
山内徳信 ××

《国民新党》
自見庄三郎 ×○
長谷川憲正 ○○

《改革クラブ》
荒井広幸 ×○
大江康弘 ×○
渡辺秀央 ×○

《新党日本》
田中康夫 ―×